第13話 再会

 四人の……いや、奥村の目の前に空中からいきなり姿を現した中垣内は、すっと腰を落とすと徐に右の拳を握りしめた。

「失せろ!」

 そうして目の前にいる得体の知れないバケモノに荒く声を上げると、勢い良く拳を殴りつけた。するとどうしたことか、例のバケモノは聞くに堪えないような声を発し、拳の当たったところから徐々に消えていくではないか。四人は、目の前で友人によって行われた行為を見ながら「あれ、自分たちは何であんなにも必死に逃げていたんだろう」とちょっと頭を捻った。

「ふぅ……。あ、お前たち大丈夫か?」

 そうして四人を振り返り心配そうな顔をする中垣内に、四人が四人とも顔を痙攣らせた。


「中垣内さん、大丈夫でしたか?」

 訳もわからず半ば放心状態である四人の前に、また新たな人が現れた。

「柊さん。私はなんともないです。多分、ほかの四人も」

「あぁ……もう、本当に……よかった」

 現れた人はどうやら中垣内の知り合いのようで、何やら親しげに話している。今時ではなかなか見ないような綺麗な和服に身を包んだその人は柊、という名前らしい。どう見ても此処にいる学生たちよりは歳を食っているその人は、何やら申し訳なさそうに頭を下げて何度も謝っている。

「中垣内、聞いてもいいか。何があったのか」

 相変わらず放心していた四人だが、案の定一早く正気に戻った佐野が、何やら今回の騒動の訳を知っていそうな中垣内にそう尋ねた。

「あぁ、もちろん」

 彼は神妙な面持ちで自身の友人たちに語り始めた。

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