第6話 保護者枠たち
一方、戸締りのために歩んでいた二人。こちらも自己紹介を皮切りに会話が弾んだようだ。
「私は一年四組の中垣内友正。よろしくな」
「俺は一年一組の
そう言い中垣内の自己紹介に応じた佐野は近所の面倒見の良いお兄さんを彷彿させるような笑顔で笑った。この歳にしては少々大きい身長も相まってか、中垣内とはまた違う意味で大人びて見える。
「一組? あぁ、だから太一と仲良さげだったのか」
「まぁな。同じクラスだし、結構気が合うからクラス内ではよく一緒にいるぜ」
「そうか。あいつお前に迷惑かけてないか?」
まさかそんなことを聞かれるだなんて思っていなかった佐野は、ちょっと目を開き驚いたような顔をすると、次の瞬間くつくつと笑い始めた。それはもう愉快で愉快で仕方がない、とでも言うように。
「まるで過保護な母親だなぁ。あいつの言ってた通りだ」
喉を鳴らして笑う佐野を横目に、いつの間にか窓の近くまで歩ききっていた中垣内は、窓の鍵がかかっているかを確認した。
「あいつ、そんなこと言ってたのか?」
「あぁ、それはもう楽しそうな顔をしながら」
友人が自身のことをそんな風に思っていただなんて微塵も知らなかった中垣内は、そっと溜息をついた。あいつの元へ戻ったらどうしてやろうか、と次いで考えていた彼だったが突然ぞわり、と嫌な悪寒が背中に走りそんな考えもどこかに吹き飛んだ。隣の佐野も何かを感じ取ったのだろう、心なしか顔色が悪い。二人は示し合わせたかのように互いの視線を交わし頷くと、一直線に駆け出した。禍々しく放たれる途方もない負の感情。それの流出源があるであろう場所に。入り口の方……もっと言えば例の三人が談笑しているであろうあの受付カウンターに。
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