第4話 友人達

 それから二人はすっかり打ち解けたようで、「私は昔から本が好きだったから文芸部に所属してるんだ。と言っても部員は私以外いないんだがなぁ……」「え、一人で活動してるの? 大変そうだね〜。あ、ちなみにボクは吹奏楽部だよ〜」と、その他もろもろの身の上話で盛り上がった。そうこうしているうちに日は傾き、いつのまにか完全下校の時間が間近に迫っていた。ちなみに今日の来室者数は0人。悲しいかな、例の教師が言っていたことは本当の事だったようだ。

「あ、もうこんな時間だ〜」

「完全下校は十八時だったか?」

「うん、あと十分だね〜。戸締りとか始めちゃう?」

「あぁそうだな。私は窓の鍵を確認してくるからカウンターの片付け頼んでもいいか?」

「うん、了解〜」

 素早く担当を決めると、二人は各自の仕事に取りかかろうとカウンターの椅子から立ち上がった。すると廊下の方が何やら騒がしいことに気がついた。

「? こんな時間に誰だろ〜」

「わからないが取り敢えずもうしばらくだけ待ってみるか」

 そう言い二人は再度椅子についた。そうしていると図書室の扉がガラッと音をたてて開いた。

「友、帰るぞー!」

「ユウ、迎えに来たぞ」

「……二人とも、声、大きい」

 図書室に入ってきたのは三人の男子生徒だった。


「私は戸締りをしてくるから、二人ともちょっと待っていてくれ」

 中垣内はそう言って先程図書室に入ってきた三人のうち一番背の低い生徒と、切れ長の目が印象的な生徒に目をやった。声をかけられた二人が素直にうなづいてカバンを下ろし、ちょっと寛いだ様子になったのをみると、彼は図書室の一番奥にある突き出し窓の方に向かって歩き始める。それをみていた萩原は「ボクも行く」と中垣内に声をかけたが「確認だけだし私だけでいいよ」と言われ大人しく待っていることにした。が、先程のここにやってきた三人のうちの残りの一人、今ここにいる五人の中では最も背の高いであろう生徒は「ちょっとすまん」と言って中垣内の後を追って行ってしまった。

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