第14話

中央広場には人が多く居た

子供から老人まで幅広い年代の人が集まっているようだ

中央には噴水があり周囲は木々に覆われている

木陰にはベンチやテーブルと椅子が置いてあり、テーブルでは老人と子供が何かをして遊んでいてベンチでは読書やうたた寝をしている人が居た


「すっごーい、発明の国って言っていたけどこういった場所もあるんだ!木があると空気が少し綺麗な気がするー。」


シイはご機嫌なようでくるくる回りながら広場を見て回っている

こういうところも年相応な娘だと思う

これだけの人が居れば悪いことは起こらないだろうし

さて、掲示板はあっちにあるようだ

あまり人は居ないみたいだが本当にそんな募集をしているのだろうか?

近寄るとそれなりに募集の紙が張り出されている

どんなものがあるのだろう?


≪急募!≫

実験助手募集!

明日正午よりこの国が生まれてから初めての素晴らしい実験を行います

内容は物体の瞬間移動させる装置を使います

資格は不要、未経験者も歓迎

場所は○○××にて、当日現地にお集まりください

報酬は実験終了後にお支払いします

事故が起こった場合は相応の慰謝料をお支払いします


≪募集≫

報酬は出来高にてお支払いします

分断された人体をくっつける実験です

これには麻酔の投与を行うためご安心ください

万が一事故があった場合は相応の慰謝料をお支払いします

場所は○○△△にて

ご連絡はこちら×××××

日程は〇×□△

ご応募お待ちしております


本当にこんな実験がまかり通っているのか?

見たところ事故が起こる前提で募集が書かれている

これが普通なのだろうか?それとも異常なのだろうか?

一人で考えていても仕方ない

誰かに聞いてみよう、と思ったが喋ることが出来ない

どうしたものか


「これとかいいんじゃない?喋れないヒイにちょうどいいと思うんだけど?」


声がした方を向くと先ほどまで広場を見て回っていたシイがいつの間にか近くに居たようだ

この募集要項が見えないのだろうか

とてつもなく恐ろしい実験に巻き込まれる気がしてならないのだが、彼女にはどう見えているのだろう?


「これこれ、場所へ行ったらすぐやれるみたいよ?百聞は一見に如かず!っていう言葉を知ってる!」


とりあえずその募集を見てみる

なになに・・・

ああ、これは確かにお誂え向きな募集内容だ

他の募集要項と違って事故については書かれていない

一応、信用して行ってみよう

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