第19話
「いいのかい? 無防備にしてたら、おれがここに……」
彼の左手がするりと太腿をすり抜け、ショーツへと迫ってきた。おへそを下へとなぞるコースで、今にも『侵入』を始めそうになり、初心なモニカを動揺させる。
「あっあなた、さっき、最後まではしないって」
「しないさ。でも、触らないとは言わなかっただろ」
モニカのほうはもはや真っ赤な顔を押さえるどころではなかった。慌てて右手も左手もショーツに急行させて、乙女の守りに徹する。
「だめよ! こ、ここだけは……」
「へえ。『ここ』って?」
またしても意地の悪い返しをされ、悔しかった。王国令嬢の代表でもある第一王女が、そのようなもの、知っていたとしても言えるはずがない。
そうやってモニカの動きを封じつつ、ジェラールはブラジャーへと手を掛けた。
「ちゃんと庇ってないと、すぐそっちを触るからね? それじゃあ……」
「っひあ? まさか、あなた」
脚は閉じることができたものの、彼の悪戯から胸を逃がせない。肩紐を一本ずつずらされ、柔らかな膨らみがふたつとも零れ出る。
「み……見ないでぇ……」
羞恥に耐えきれず、とても声にならなかった。
ブラジャーに代わり、彼のてのひらでじかに包まれ、楽しむように揉みしだかれる。
「触ってみると、見た目以上に大きいんだな。どうだい? モニカ」
「やめっ、強くしないで……あっ? ちょっと……!」
桜色の突起を指で挟まれ、軽く牽引されただけで、甘い痺れが走った。回数を重ねるにつれて双乳は汗ばみ、コロンのものではない中毒性の香りを放つ。
身じろいだところで、悩ましげな仕草にしかならなかった。乙女の抵抗はマゾヒスティックな色気となり、ジェラールの興奮を煽ってしまう。
「いい声で鳴くじゃないか。もっと聞かせてくれ」
「んっ? はあ……ぅくう!」
声が甲高くなっているのを自覚し、ますますモニカは羞恥に荒れた。唇を噛んで、我慢の姿勢に力を込める。
不意にショーツの中で違和感を覚えた。
……え? こ、これって……。
秘密の部分が綻び、意味深な蜜を滲ませる。それが何を意味するのか、モニカにはわからなかったものの、うら若い身体はより感度を高めた。
「隙だらけだね、モニカは」
「そ、そんなこと……もぉやめてったら」
拒絶の言葉さえ色を帯び、我ながら甘えるような調子にも聞こえる。
「……可愛い子だ」
そんな身体の変化に戸惑ってばかりいると、虚を突かれた。裸乳を鷲掴みにされるとともに唇を塞がれ、モニカは瞳を強張らせる。
「んんむっ?」
突然のキス。しかし何をされたのか、すぐにはわからなかった。
ジェラールのキスはあくまで優しい。無理に唇の中へと割り込むようなことはせず、合わせ目から湿った吐息を漏らすだけ。
その一方で愛撫は執拗になり、突起を弾かれもした。
「――んああっ? そ、そこ、しちゃ……!」
モニカは彼にもたれるようにのけぞって、キスで止まっていた分も息を荒らげる。
身体は火照り、太腿の内側はべっとりと汗ばんでいた。さっきのキスで完全にリードを奪われ、ジェラールの言いつけに反抗できない。
「らしくなってきたじゃないか。今度は立って、鏡に手をつくんだ」
「ど……どうする気よ? あたしは、嫌に決まって……」
そう言いながらも、モニカは半ば朦朧としていた。命令通りに姿見で両手をつき、背中越しに振り向いて、意地悪な彼を待つ。
予感はあった。なのに、まともな抵抗の手段を思いつかない。
「じっとしてるんだぞ?」
「やっ、ほんとにそこは……ひゃあっ?」
いよいよジェラールの手はショーツへと差し掛かり、侵入を始めてしまった。背中の筋を下へとなぞりつつ、ピンク色の薄生地に潜り込む。
お尻の谷間を降っていく感触があった。
「だ、だめなの! お願い……はあっ、ジェラール……それだけは許して?」
たまらずモニカは姿見に双乳を押しつけ、いやいやと悩乱する。そうまでして拒絶した甲斐があったのか、ようやくジェラールの手が止まった。
「そんなに嫌かい?」
「え、ええ……」
慰めるかのように頬にキスをされ、抵抗の気力を削がれる。
それでもモニカが必死に身体を強張らせていると、ジェラールはショーツから手を抜いてくれた。モニカの髪を撫で、耳たぶを食む。
「しょうがないなあ。けど、これは『おしおき』なんだよ、モニカ。おれを出し抜こうとした、ね。……入ってきなよ、きみ」
おもむろにドアが開いた。思いもよらない人物が現れ、モニカを驚愕させる。
「嘘でしょ? まさか……」
「……申し訳ございません、モニカ様。わたくし……」
それはメイドのアンナだった。ただし両手を手前で縛られている。
ジェラールは勝ち誇るように嘲笑った。
「こんな子におれの部屋を調べさせようだなんて、きみも酷いじゃないか。前回は見逃してあげたけど、さすがに二度目はね。本当に残念だ」
モニカたちの作戦は筒抜けだったらしい。以前の調査にしても、帝国の王子に踊らされただけのようで、モニカ王女は敗北を悟らざるを得ない。
「あ、あなたというひとは……」
「捕まえてくれたのはセリアスだよ。きみら素人じゃ、彼には敵わないさ」
アンナは半裸のモニカを一瞥し、気まずそうに目を逸らした。
「……………」
モニカとジェラールが合意のうえで逢瀬に耽っているわけではないことにも、気付いたのだろう。モニカは胸を隠すも、疑惑の空気が立ち込める。
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