第3話 わし、遂にまともな装備を手に入れる

やぁ、僕はTa☆na☆kaだよ。いつものごとく前回のあらすじを言おう。前回、プレイヤーキラーとして指名手配されてしまった村人A。だが、彼は新たに手に入れたスキルにより、窮地を脱し、見事返り討ちにすることができたのだ!(パチパチパチ)。そしてその後彼は今自分がまともな装備をしていないことについて考える。様々なスキルが使えても装備が弱ければ意味はないからね。てな訳で、村人Aのストーリー、再開!!






〖〗

わし、村人Aは思った。


(装備弱過ぎないか?!)


と。今の彼の装備を見てみるとしよう。


(なんか家に飾り?として置いてあったナイフ。倒した勇者が持っていた剣。なんか少し欠けてるぞ…。そして、鎧は………無し!!つまりわしの見た目は勇者からすればナイフを持っている私服のじじいという完全な不審者というわけじゃ)


さすがにこれは酷すぎるぞ……。Aはため息をつく。今までの勇者はほとんどが初心者であり、まともな装備を着ていなかったが、少なくとも今のAほどではない。なんなら、Aが今まで勝てたのは上記の理由がほとんどである。もし勇者の振るう剣で斬られでもしたらAは簡単に殺られてしまうだろう。


(そのために今から買いに行くんじゃが…)


Aは少し考えている。なぜなら、Aは今指名手配犯であり、外にふらっと出てしまった場合、見つかってしまう可能性が高い。だが、装備が無ければこれから先がキツいだろう。そのためAは迷っているのだ。


(まぁ、顔を隠せばなんとかなるじゃろう)


この謎の自信である。








〖〗

今、Aは街の路地裏で身を潜めていた。その理由は…………


(来たぞ!!えい!)


Aは路地を通った勇者の後ろをとり、持っていたナイフを勇者の首元にあてる。


「ちょっとその装備品全て置いていってくれんかの?なあに、悪いようにはせんよ」


Aは冷酷に告げる。そしてそれに驚く勇者。勇者が返した言葉は、


「置いていったら見逃してくれるんだな?」


勇者が聞く。Aは、


「考えといてやろう。てな訳で早くしてくれんかの?」


勇者は全ての装備品をステータス画面から解除する。装備は主にステータス画面から装備または解除を行う。そしてガタッ!!地面に落ちる装備品。Aは口がニヤけた。


「じゃあの」


Aが勇者の喉をナイフで掻っ切る。赤いエフェクトが吹き出る。地面に倒れた勇者が何かを言っている。まぁ、喉を斬られたのだ。もうすぐ死亡するだろう。


「み、見逃してくれるんじゃ…なかった…の…か?おい!」


何を言っているかと思えばそんなことか。


「ん?わしは考えといてやると言っただけで助けるとは一言も言っておらんよ。ほっほっほ」


「くっ…そ野郎!よ…よく見たらそ、その顔……。村人Aかっ!?」


勇者が喉を抑え、顔面蒼白で見てくる。


「そんなことはいいわい。んじゃこれは頂いていくでのー」


Aが路地を出ると共に、後ろから光の結晶が飛び散った。そして路地には何もなかったかのような風景が残るのみであった。








〖〗

「ほっほっほ。成功じゃわい!これが欲しかったのよ!」


今、Aは先程勇者から奪った装備を着て、装備の売っている店へ向かっている。装備についての細かい説明をすると、装備をつけたまま相手を倒しても相手と同時に消えてしまう。だが、装備を解除させ、手放させることでそれを防ぎ、実質奪ったことになるのだ。これでどこからどう見ても普通の勇者だ。これで店には新しい装備を買いに来たとしか思われんぞ。ちなみに顔を隠せるへルムを装着しているので顔を見られる心配もない。


さらに数分歩き、Aは装備屋につく。まぁ一般的な少しボロい装備屋だ。Aは店主に声をかける。


「おーい」


「ああ、何が欲しいんだ?選んでくれ」


Aは店の中をうろつき、上質な装備がないか探す。所詮まだ第3の街だからすごく強い装備といえるものは無いのだが、Aは一通り見て、


(この鎧なんかいいんじゃないかの?うむ。火炎耐性もついておるのか。だが少し重いぞ。常に肉体を強化しとらんときついぞこれは……)


(一応年寄りじゃからのう。出来るだけ軽めがいいのう。うーむ、これいいんじゃないか?)


Aは目の前に止まった装備、[忍者服](ロッ○・リーの着てるのみたいなやつ)に注目している。普通はこれは忍しか装備出来ないものだか、Aはあくまで一般人。そんな問題はない。


(本当に素晴らしいのう。一般人。しかもこの装備には隠密度上昇が付き、移動力も上昇ときた。わしはこれを買うぞ!!)


Aは決心する。ふと値段を見ると………


(2万円か…。少し高いが、まぁ忍からすれば最高の装備じゃからのう。幸い金には余裕があるし大丈夫か)


Aは忍者服を抱え、次は武器を探す。シルバーブレイド、少し質の良い弓、なんかいい感じの杖等などと色々な装備がある。


(杖の名前だけ適当すぎないか?ん?これなんか今のわしにピッタリじゃない?)


Aが手に持ったのはクナイ(忍がよく持ってる

)だ。投げてもよし、小回りもできるということで使い安い装備だ。クナイに関しての特殊な設定だか、クナイは装備ではあるが、装備すると武器の装備枠が2つになる。つまり、クナイと別の武器を装備出来るわけだ。おそらく運営が、クナイ投げたら隙さらしてボコボコにされるという事態を避けてのことだろう。


(忍者服を着るわしには良いのう。何本か買っておくとしよう。あとは………。これじゃな)


Aが注目したのは刀。刀は剣とは違い、少し細くなっているが、その分軽く、振りやすいという点が素晴らしいところだ。


(正直わしには重い剣は合わんとおもうのよ…。よし、これじゃ)


Aは店主のもとに今までに手に持った装備を出す。


「はいじゃあ3万円ね」


(くっ少し高い…)


「はいよ」


「毎度ありー」


装備を買ったAの前に買った装備に変えますか?というメッセージがでる。Aは迷いなく


(変えるに決まっておろう!ほれポチッと)


Aの姿が光りに包まれたかと思うと、次の瞬間には忍者服装備になっていた。やったぜ。

一応顔を隠せるやつで顔は分からないようにしているが、全身がタイツみたいなもので、顔だけ隠すという奇妙な組合せだ。でも中々かっこよくないか?動きやすさはどうだ?

Aは軽くジャンプしてみる。


(おお!軽い!なんなら今までの私服より断然今の方がいいぞ!)


これでしばらくはいけるだろう。あとは、


「んじゃあこれ売ってくれや」


Aは勇者から奪った装備を売りにだす。売るなんて…ナンテヒドイヤツナンダ(棒読み)


「んじゃあ1000円ね」


(これ安すぎないか?いくら中古でも酷すぎるぞい!くそ!あの勇者め。もっと良い装備買っとけや)


「それでいいぞい」


ほんの少しだけ金をもらい、Aは店の外にでる。


(さて、森に行ってモンスターを練習台にして使ってみるかのう)


Aはそのまま顔を見られることなく森へと向かうのだった。ちなみに顔は見られなかったが道を通る人にはチラチラ見られていた。まあ、あの装備だからね…。








〖〗

森の中では光の結晶が多く散っていた。その中に佇むのはAだ。


(この刀今まで使ってた剣よりもいいぞい。軽い軽い)


Aがそう思っていると、ザワザワ…と茂みから音が聞こえてくる。


「おっとそこにいるのは何かのう?ほれ!受け取れい!」


Aはクナイを何かに投げつける。


「ギエーーーー!!」


クナイは見事に何かの額に突き刺さる。Aが走って確認しに行く。その何かは小さい兎形のモンスターだった。そしてモンスターは消え、そこには兎肉というアイテムが落ちていた。


(うむ。中々美味そうじゃのう。また今度食ってみるぞい)


モンスターを倒すと、たまにこういった食べ物を落とすことがある。基本的にはあくまでゲームの中なので腹が減ることはないが、一応味覚というものは感じられるので、食べる意味はある。


(さて、刀やクナイの扱いもなれてきたことだし、宿に戻るとするか)








〖〗

「うほー、美味い!!肉というものは歯が衰えていて食べれんかったが、今のわしなら食える!」


初めは食えねーと嘆いていたAだったが、そこでAは思いついたかのようにスキル[肉体強化]を使う。案の定その状態で肉にかぶりついたらちゃんと食えた。まさかの、歯まで強化されるという謎のシステム。年甲斐もなく少しはしゃいだわい。


「ふー↑美味かったぞ!また食べたいのう。では明日に備えて寝るとしよう。明日にはモンスターじゃなく勇者共で力を試したいからなあ」


Aは布団に入る。ふと、Aはこんなことを考えた。


(わし、なんか役職、忍で良くないか?いやそれじゃせっかくの一般人という役職が台無しじゃい。ちょっと明日はスキルも増やすとするか)


その数分後にはAは眠りについた。






















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