青春を守る闘いが始まろうとしている

 ここは一‐三。時刻は二十三時過ぎ。


 もう太陽はとっくに沈み、一日が静寂の中終わろうとしている。あの後は自主練どころでもなくなり、ただ時間が過ぎるのを待った。夕食、入浴、全てが淡々と過ぎていった。深川とも気まずくなり、独り寂しく床に就く。


 八月十一日。いつ終わるかわからない人生の中で、今日ほど失望と悲しみに満ちた日はないと思う。みんなから白い目で見られ、あんなに信頼していた深川から犯人だと言われた日……そして、森川さんを喪った日。


 目を閉じる。手を伸ばせば届きそうな近さに、森川さんの温もりを感じる。涙はでない。


「タイムリミットは、明日」


 明日中に事件を解決すると俺はみんなの前で誓いを立てた。


 それが出来なければ、俺は無実の罪を問われることになる。


 この島に渦巻く悪意の正体は、もしかしたら今日という日以上に俺を失望させるかもしれない。過去の思い出すら侵食する黒い絶望は、今、俺たちの青春を破壊しようとしている。


 この尊い青春のワンシーンを守らねばならない。そのために今はつかの間の休息を……。

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