第4話 天照大御神の不思議

 いわゆる左翼は、天照大御神を単なる天皇家の支配の根拠、権威つけのために創作したものに過ぎないという主張をします。しかし、神が身近な古代人がそういうことをするだろうか?そういうことはせず、本来ある神話に粉飾、付加、意味づけ、他の神々と結びつけなどをするのではないでしょうか。

 天照大御神が、元々天皇家の祖先の主神ということに疑問を投げかける主張は常にあります。天照大御神が伊勢に祀られることになった経緯からして、その主張の根拠の一つとなっています。

 元々、宮廷に祀られていた天照大御神と大物主神とが、仲が悪く、度々争うため、伊勢に天照大御神を移したと日本書紀に記されているからです。

 これを、

「元から伊勢が聖なる地という認識があって、その伊勢という入れ物に、追放または埋葬したのだ。」

という主張をした人がいる。確かに納得いく面はある。

 しかし、どうして、その神が天皇家の主神になるのであろうか?

 昔、歴史雑誌の中で日本に留学した、知日家で納豆も臆せず食べた欧米人の女性が驚いたことが一つあり、それが、

「主神が女神なんだ。」

ということであったと記されていました。世界的に異例なことがどうして生まれたのでしょうか。

 ちなみに、外務省の知り合いにこの話をしたら、

「外国人は何も知らないな。太陽神だから男だ。何だって違う?ぼくは神話に詳しいんだ。知らないくせに、嘘をいう奴だね、君は。」

と非難されましたが。

 話は戻りますが、こういう解釈も出来るのではないだろうか?

 元々、天皇家の主神は天照大御神ではなく、大和の地に来て、初めて天照大御神を知った。その聖地が元々伊勢。大和の地で国づくりをしていった天皇家は次第に天照大御神を受け入れていった、信仰の影響を受けていき、いつの間にか天照大御神を主神として受け入れた。その時点で、主神が伊勢にいる矛盾を説明する話が生み出されたと。

 いうならば、天皇家は天照大御神に乗っ取られた、天照大御神という女神が主神となった時、日本が成立したのだということができるのではないだろうかと。

 どうして、そういう見方が、今までなかったのでしょうか?ことあるごとに、「天照大御神は、元々男神だったが」を頭につける人々がいますが。

 その主張の幾つかですが、記紀が編纂された時期が女帝だから天照大神が女にされたとか、記紀の元ができはじめていた時期が女帝だったから、神功皇后の三韓征伐の話しを創作したというのは、あまりに現代人の発想による主張であり、もう止めるべきであると思うのですが。

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