第2話 農耕民は移動しないのか?

 神武東遷を否定、即ち九州の邪馬台国が大和王権になるはずはないというのが、邪馬台国九州説への大和説の反論になるものです。

 農耕民である弥生人は、移動しない、土地に定着する民である。九州から大和に進出するとなると

少しづつ侵攻、占領して大和にいたるのが当然であると。しかし、神武天皇が大和までの旅での宮跡も、北九州~大和まで征服されたことは考古学的に見て、疑問であると。記紀を見ても、その後にそれらの土地は大和王権により征服されたことが記載されている。ということだから、神武東遷は事実ではないということになるというのが、神武東遷否定、神武天皇非実在の主張となります。

 しかし、ここに一つ例があります。中米、メキシコのアステカ族である。彼らは半農半狩猟民であるが、突然、神託を受けた神官に引き連れられて神に約束された地への長い旅に出たのである、故郷を捨てて。

 弥生人は、従来言われていたほど水田農耕に依存していたわけではなく、狩猟も併用、さらには、熱帯系ジャポニカ米栽培、焼畑農耕もかなり行っていたということが近年言われています。焼畑農耕ならば、かなり移動することについても、こだわりがありません。それに各地を転々とするアステカ族の旅と瀬戸内海各地に転々として宮を営みながら、それを捨てて、移動する神武東遷は、かなり似ているのではないでしょうか?

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