応援コメント

ある模範委員の回想」への応援コメント

  • 【評価されるべき作品に、感想爆弾を投下します】企画に参加いただきありがとうございます!
     感想爆弾を投下しに参りました。心の準備はいいですか?

     え、待って、カクヨム甲子園参加ってことは、高校生!?
     年齢で作品を軽んじる気は毛頭無いのですが、自分がイメージしている高校生の書き物からはかけ離れていて、ただただ驚いています。「若い割にはすごい」ではなく、純粋に実力として。
     回想を語って聞かせる形式。まるで見てきたことをそのまま語っているような具体的なエピソード。反戦を声高に叫ぶのでもなく、さめざめと泣きながら語るのでもなく、淡々と事実が語られていく。想像力だけでふわっと書かれているのではなく、調査が行き届いているのだろうと思いました。
    【選挙なんて上等なものは知らなかった。じゃんけんよ】→現代と当時とのギャップを感じさせる一文でした。ぶん殴られた感じさえしました。選挙に無関心な人もいる現代ですが(それが良いとか悪いとか言うつもりはありませんが)、当時は選挙制度について子供が学ぶ機会さえ貴重だったのかもしれないなぁと考えさせられます。
     イリーチェと妹のエピソードは胸に迫ります。誰だってチョコが欲しい。子供ならなおさら。ただ、イリーチェは妹のために欲しかった。じゃんけんの結果とはいえ、主人公には後悔の念が見えるような気がしました。ジュリーも惨い最期でした。泣いただけで撃たれ、蹴り飛ばされ。それでも主人公は泣かない、泣くわけにはいかない。心が麻痺していく様子が見えて恐ろしいです。
    【犬みたいなロボットを、何匹も始末】ってなんだろう……そういう史実があるのか、この作品のジャンルがSFであることを踏まえると、そういう世界観なのか……?
     空襲の様子を【綺麗だった】と語られているのは衝撃でした。もちろん、主人公は見たままを語り、率直にそう思ったのでしょう。太陽の光で銀色に光る爆撃機の翼、炎でオレンジ色に染まる空、煙で霞む緑の峰……描写が細かくて、読んでいるとそれは確かに美しい光景だったのではないかと思わされるほどでした。
     戦争の発端は資源開発を他国に批判されたこと。これは現代でもありますよね。発展途上国は国を豊かにするため資源開発を急速に進め、先進国は環境保護の観点から批判する。歴史は繰り返す……。戦争も様々な理由を契機に繰り返されています。その度に、こうやって恐ろしい体験を語る人が生まれるのでしょう。【一日でも早く貧しい暮らしから抜け出したかった】という国民の総意はもっともだけど、そのために【戦うしかない】と戦争へ突入するのは、願いが切実なだけにあまりにも悲しいですね。
     作品全体は個人の体験談として語られているのですが、その中に戦争を俯瞰しているような眼差しも感じ取れます。これは、月日が経って当時を振り返って語っているからなのでしょう。作者のバランスの取れた視点、戦争の惨禍の描き方が素晴らしい。
    【是非食べて。誰かに食べて欲しいのよ。皆これが大好きだった】という締めくくりの言葉は、イリーチェとその妹への罪滅ぼしなのかもしれない。主人公のやるせなさが滲み出ていたように思います。

    作者からの返信

    本作はとあるノンフィクション作品に影響を受けた、(SF味は薄いですが)SF小説になります。リアリティを出すことを念頭に置き、各エピソードを構築したので、「調査が行き届いているのだろうと」思っていただき、大変嬉しく思います。

    御感想を読みながら思ったのは、良くも悪くも、ややフィクションらしさが薄かったかなという点です。ノンフィクション作品——戦争体験者のインタビュー——の雰囲気を取り込んだ故でしょうね。ロボットのくだりがいささか浮いているかもしれません(本作は近未来における架空の発展途上国を舞台として想定しました)。

    さて。ところで私が、一番心配しているのは(調査などしていない完全に空想の産物であることもあり)、実際の戦争体験者からしてこの小説がどう映るのか、ということです。何も知らない人間が、雰囲気だけで(架空の戦争とはいえ)当事者の心象を語ってしまうのは、果たして許されることなのか。こと、本作のように、実際の声を吸収し生々しく書いた戦争を、小説、娯楽として消費するのは、道徳的に良いのだろうか。そもそも小説そのものが、誰かの人生を娯楽として消費する、不道徳なものではないのか。様々な迷いが、まだ残っています。

    幸い、多くの人からは好意的に受け止められているようで、ひとまず安心しています。「戦争を書く」ということの、否、誰かの物語を紡ぐことの重みを、実感した作品です。丁寧な感想をありがとうございました。

    編集済
  • 少女の肌感覚を通して語られる戦争の惨禍が、ひしひしと伝わってきました。
    彼女はチョコレートの味を忘れたくても忘れられないのでしょうね。
    昔よりずっと美味しいチョコレートが食べられるようになってそれで良かったのか、考えてしまいます。

    作者からの返信

    早速のコメント有難うございます。
    「ひしひしと伝わってきました」。これはフィクションにとって、最大の褒め言葉の一つでしょう。感謝。