第5話
名前の一件でもわかるように、彼女はことあるごとに運がよかった、と言った。
たとえば、突然の大雨でずぶ濡れになったとき。降りがもっと酷くなる前に帰ってこられた、と。なけなしのパンを2人わけ合って食べたときも、あんたがいなかったら寂しく独りで食事するところだった、と。客に手酷く扱われて歯が欠けてしまったときも、元々隙っ歯だから大して目立たなくて済んだ、と。
そして、どこをどう間違っても運がいいとは言えないことが起きると、今度はこう言う。
「だいじょうぶよ、心配ない。だって、やまない雨はないんだから―」
…もともと頭がちょっと弱い系だけど、ほんとにおめでたいよな。
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