第2話
神奈川県
大都会というにふさわしい町並みが揃うこの地。
高校野球の県予選では、全国屈指の激戦区でもある。
甲子園を目指したいなら、強豪に行くしか無い。強豪に勝つしか無い。
生半可な実力だけでは通れぬ甲子園の道。
何故、選手たちは自らイバラの道を進むのか。
いいや、選手たちにとってみれば、イバラの道でもなんでもないのかもしれない。
それが、夢へ進むための唯一の道であるからか。
神奈川県横浜市
数年前から、監督が変わったことにより急速に力をつけた私立高。
甲子園出場回数は2回、県予選でも夏秋、共にベスト8までは必ず残るとも言われる実力を持った高校である。
甲子園ではまだ3勝しかあげていないものの、激戦区神奈川で順当に勝ち抜くという末恐ろしい高校でもある。
なお、ここ数年でプロに何名かも排出している。
ここ最近では、元々強打が持ち味だった打線に更に厚みが加わり、更にはエース草薙(3年)や、藤堂(2年)の二枚看板が強みになった。
各地方から、多くの有力選手をスカウトし、甲子園優勝を目指す。
そして、スカウトされた中にもこの男がいた・・・
「ほぉ~、ここが...すっげぇ...」
グラウンドのネット越しに練習風景を眺めるこの男。
後の大エース!になるかもしれない 神城 春斗(15歳)
地元から声が掛かった選手でありながらも、中学時代の実績はほぼなし。
何故、この男がこの高校に選ばれたのか。
隠された素質があるのか。
多くの謎を残したまま、この物語は始まる・・・。
――――――――――――――――――――――――――――――――
「1年生!集合!」
監督の掛け声と同時に、1年生たちが続々と集まってくる。
「今から各自、中学校に名前、そして希望する守備位置と、アピールを言ってもらう。では、一列目右から」
「はい!朝霞中学校出身!・・・」
次々と自己紹介を済ませていく一年生たち。
その真ん中の列の左端のちょっとはみ出たところにいるのが神城だ。
「得意なのは
「よし、次!」
「はい!「はい!」 「横浜中「相模中学」
それと同時に、神城の声と誰かの声が被った。
「!?誰だ!次は俺のはずだぞ!」
思わず声を上げる神城。しかし遠すぎて右端が見れない。
しかし、そこにちょこっと右端にはみ出た男が見えた。
「お前だな!出しゃばるな!」
指差しし、威嚇する神城。
「おっと、それはすまない。見えなかったもので」
「なぬぅ~!...まあいいだろう!」ゴホンッ
生意気に咳を鳴らすと、息を吸い上げる。
そしてこれまでの者より格段と大きい声で放った。
「横浜中学校出身!神城春斗!希望するポジションは投手!中学時代も投手をやっていました!球速には自信があります!」
グラウンドが震えた。
はずだった。
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