第6話 邂逅

 正義の味方を名乗る男が訪ねて来たのはそれからしばらくしてのことだった。

 その男はブレスレットを持っておりどうやら俺の戦いを何度か目撃しているらしい。そして、俺の手伝いをしたいと言ってきた。


「あなたは人を救いたいんですよね?だったら手伝わせてください。私も、これを使って誰かを助けたいんです。」


 これがその男の言葉だった。そんな風に言われても、俺は今まで救えたことは少ないし、お前に手伝ってもらうほどの価値もないと言ったのだが、彼は聞く耳を持っていなかった。

 あまりにしつこく言ってくるので俺はしぶしぶこの男を受け入れることにした。


「そういえば、知ってます?最近謎の失踪事件が増えてるって。」


 彼を受け入れてから数日後、こんな情報を彼から聞いた。


「そういうのは俺たちじゃなくて警察の仕事だろう?」

「それが、警察は介入できないんですよね。これのせいで。」


 彼はブレスレットを見せた。だが、何故ブレスレットがあると警察が介入できないんだ?ルールにそんな項目はなかったはずだ。


「ブレスレットによる事件は、事件に関わっている者にしか把握できないことがあるんです。何か不思議な力が働いているらしいというか、具体的に言うと、ブレスレットによる殺人の被害者の遺体は加害者のブレスレットが破壊されるまで見つからず、その間被害者と全く同じ姿かたちをしたなにかが被害者の代わりに存在するようになるんですよ。」


 この話は信ぴょう性に欠けるが、一応信じてみることにした。


「じゃあ、なんで今回の失踪事件が分かったんだ?」

「それ、ブレスレット保持者には効かないことがあるんですよ。この街には結構な人数がブレスレットを持っていますし、そういう人たちの証言で分かったんです。」

「その中に警察もいるんじゃないのか?」

「なんと、警察など特定の職業の人には配られてないんですよ。」


 あの少女はそこまでしてこの街で何をするつもりだ……?


「とにかく、今はさらわれた人たちのところに急ぎましょう。」


 俺は言われるがまま彼についていった。そこは古びた倉庫だった。

 中に入ると、そこには異臭が漂っていた。


「お前ら、何か用かあ?」


 声が聞こえる方向に身体を向ける。そこには、死体の山と、巨大な怪物がいた。




 ――――


 さて、ここまで予定通り。倉庫まで誘導してきたし、奴も倒すべき敵を認識しただろう。

 さあ、この怪物を倒そうではないか。力を合わせて。

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