第9話

第9の書板

『ギルガメッシュは、彼の友エンキドゥにむかって烈しく涙を流し、野原をさまよい歩いた


「私が死ぬのも、エンキドゥのごとくではあるまいか

悲しみが私のうちに入り込んだ

死を恐れ、私は野原をさまよう



ウバラ・トゥトゥの息子ウトナピシュティムにむかって

私は道をとり、急ぎ進んだ


夜になり、山の狭間にさしかかると

私はライオンどもを見てふるえあがった


私は月の神シンにむけ頭をあげて祈った


神々の・・・まで私の祈りが達した

「シンよ、今も私を守りたまえ」


夜のあいだ 彼はよこたわり、夢から覚めた

・・・・生命に満ち喜んだ

彼は斧を手にとり

帯から剣を引き抜き

矢のように彼らの中へ下って行った

彼は彼らを打ちはらい斬りきざんだ

・・・・以下欠』


ギルガメッシュはエンキドゥを失い旅に出たらしい。永遠の強さと自身に満ち溢れていたギルガメッシュが恐怖に満ちている


彼は神々に見捨てられている恐怖がライオンどもを見て震え上がったのだろう


彼は神々に祈り

その恐怖に打ち勝つ


そしてギルガメッシュはウバラ・トゥトゥの息子ウトナピシュティムに向かうとある。


ウトナピシュティムとは大洪水を生き残ったと言われる伝説の人物である。

旧約聖書のノアにあたる。


この物語は世界最古の文明シュメールの詩篇である。




第9の書板の続き


『山の名は

マーシュ(バビロニア語では双生児の意味をもつ)


彼がマーシュの山に達すると

それは日ごとに日の出と日没を見張っており

その頂上は『天の岸』にとどき

そのふもとは冥界にまで達していた

サソリ人間どもがその門を見張っていた


その猛々しさは恐ろしく、その姿は死だ

彼らの恐ろしい輝きは山を包んだ

日の出と日没には太陽を見張っていた

ギルガメッシュは彼らを見ると

彼の顔は恐れと驚きに青ざめた

だが彼は勇気を出して彼らに声をかけた


サソリ人間は妻に向かって叫んだ

「こちらに来るものは神の肉をしている」

サソリ人間の妻は彼にむかって答えた

「彼の三分のニは神、三分の一は人間です」


サソリ人間は男にむかって叫んだ

神々の子にむかって言葉を語った

「なぜお前はこんな遠い道をやってきたのだ

なぜお前は私のところまでやってきたのだ

渡ることのむずかしい海を越えて

お前の来た目的を私は知りたい」

・・・以下欠』


マーシュ 双生児という意味をもつ。

アララト山を想像してしまう。2つの頂きをもつトルコにある山だ。

ノアの箱船が着いた場所といわれている

富士山によく似た頂きが2つある山である


これは世界最古の文明シュメールの詩篇である


第9の書板の続き


「我が父ウトナピシュティムのために私は来た

神々の集いに入ったお方だ

死と生命のことを私はききたいのだ」


ギルガメッシュにむかって言った

「ギルガメッシュよ、それを成し得た者はだれもいない

山の通路を越えた者も誰もいない

12ベールのところで

暗闇はふかく、そこには光がない

日の出には・・・

日没には・・・

日没・・・以下欠』


都市伝説のような人物ウトナピシュティム

太陽と闇に何かあるのかと思わせる

日の出のあと 日没のあとの欠落部分


12ベールのところで闇?




「悲しみと苦しみあろうとも

湿りあろうと乾きあろうと

たいめいきと涙あろうと私は行くのだ

さあ、山の入口を開けよ」


サソリ人間は語るために口を開き

ギルガメッシュにむかって言った

「行け、ギルガメッシュよ

マーシュの山を越えることを許そう


山々と山地を越えて行け

つつがなくお前の足がお前を連れもどすように山の入口はお前のために開かれる」


ギルガメッシュはこれを聴いて

サソリ人間の言葉に耳を傾けた


太陽の道にそって彼は行った

いちべール過ぎると

暗闇は深く、そこには光がない



彼は前も後も見ることができない

2ベール過ぎると・・・』


我が父ウトナピシュティムと言うギルガメッシュ

本当の父なのだろうか?

それともひとの根源 始まりという意味なのだろうか

ノアの箱船から通じる一筋の血筋と同じ考え?


イシュタールの門 内と外

境界




第9の書板のつづき


『4ベールすぎると

暗闇は深く、そこには光がない

彼は前も後も見ることができない


5ベールすぎると

暗闇は深く、そこには光がない

彼は前も後も見ることができない


6ベールすぎると

暗闇は深く、そこには光がない

彼は前も後も見ることができない


7ベールすぎると

暗闇は深く、そこには光がない

彼は前も後も見ることができない


8ベールすぎると

暗闇は深く、そこには光がない

彼は前も後も見ることができない


9ベールすぎると

彼は北風を感じた

・・・彼の顔は・・・

暗闇は深くそこに光がない

彼は前も後も見ることができない


10ベールすぎてのちに

・・・・に近づいた

・・・ベールの・・・


11ベールすぎると太陽の光線が差してきた


12ベールすぎると光があった

彼の前に石の木々があるのを見て彼はまっしぐらに進んだ


紅玉石は果実を実らせていた

ぶどうの実がたれ下がり、見るからに好ましかった

青玉石は青葉をつけていた


これも果実をつけ、眺めるに心地よかった

以下欠』


ここで第9の書板は終わる


エデンの園

楽園にギルガメッシュはたどり着くところで第9の書板は終わる


トンネルのような場所なのか

小説 雪国を思い出す


闇と光の関係 その概念を言っているのだろうか?

死後の世界 黄泉の世界

12ベールか?

60進法を使っていたシュメール

一日は24時間 昼と夜に1/2にすれば12時間

太陽の軌道を司るように門番がいる

マーシュ サソリ人間






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