第7話
第7の書板
『・・・そして夜が明けた
そしてエンキドゥはギルガメッシュに語った
「聴いてくれ、昨日一体どんな夢を見たかを
アヌ、エンリル、エアおよび天なるシャマシュが
集まり、エンリルはアヌに語った
「彼らは"天の牛を殺したために、またフンババを殺したために
彼らの一人は死ななねばならぬ」とアヌは言った
「杉の山を荒らした者が死ぬべきだ
だがエンリルは語った
「エンキドゥが死ぬべきだ
ギルガメッシュは死んではならぬ」
すると天なるシャマシュは勇ましきエンリルに答えた
「彼らは私の命令によってこそ
"天の牛"とフンババを殺したのではないか、それなのに無実のエンキドゥが死ぬべきか」
天なるシャマシュに向かって言うには
「なぜならばあなたは日ごとに彼らの仲間のように降りていくからだ」
エンキドゥはギルガメッシュの前で病み倒れた』
まるで従順であることが罪だと言っているようだ。会議する神々は
向かい合うカタチを求めているような気がする
第7の書板のつづき
『エンキドゥはギルガメッシュの前で病み倒れた
涙が滝のように流れ落ちて
「兄弟よ、愛する兄弟よ、なぜ我が兄弟をさしおき私は無実のだというのか
その上私は死霊のもとに坐り、死霊の門のもとに坐らねばならぬのか
我が愛する兄弟を我が眼でふたたび見ることなく」
(以下欠、以下はアッシリア語版)
エンキドゥは・・・彼の眼をあげた
あたかも人間であるかのように門と話をした。
「森の門などには何が納得がゆくものか
ものわかりするはずがない
20ベールのところで私は好ましいお前の木を見た
私が丈高い杉の木を見る はるか前のことだ
国中でお前の木にかなうものはない
お前の高さは6ガル、お前の幅は2ガル
(1ガル≒6m)
お前の支柱、お前の柱受け、そしてお前の柱つまみ・・・
お前の職人がニップルでお前をつくった。
おお門よ、これがお前の目的だと知っていたら
私は斧を持ち上げて・・・してしまい
筏に組み込んでしまったのだが・・・
(以下約50行欠)
エンキドゥは門と話をしている。話しかけている。門がなければと
ウルクを形容する言葉を思い出す。
周壁あるウルク
広場あるウルク
壁の中に閉じ込められしまった
自分を嘆いていように私には聞こえる。
遊び女に連れられてエンキドゥはここに来た。何の目的で来たのか。エンキドゥは忘れていたと嘆いているように私には聞こえてくる。
第7の書板の続き
彼の持ち物を打ちこわし、彼の力を減らせ
お前のまえで彼の道が取れなくなるように
彼のまえから彼がかれがとろうとする獲物が逃げてしまうように
狩人が彼の心が満足が得ることがないように
彼の心ははやりたって遊び女を呪った
「来い、遊び女よ、私はお前の運命を決めてやる
永遠に終わることのない運命を
私は大なる呪いを持って呪ってやる
その呪いがすぐにもお前にふりかかるように
・・・お前の家に投げ込んでやる
・・・道路がお前の住みかになるように
壁の暗影がお前のいるところになるように
お前の両足の・・・
酔っ払いや渇いた者にお前の頬を打たせてやる
シャマシュは彼の口からこの言葉を聞いた
彼はすぐさま天から彼に呼びかけた
彼はすぐさま天から彼に呼びかけた
「エンキドゥよ、 なぜお前は遊び女を呪うのか
あれがお前に教えたのは、神にふさわしいパンを買って食べること
王者にふさわしい酒を飲むことだった
あれはお前に立派な衣服を着させたではないか
そしてよき友ギルガメッシュをあたえたではないか
さていまは、お前の親友なるわが友ギルガメッシュがお前を立派な寝台に横たえさせている
誉れの寝台にはお前を横たえさせている
彼はお前を左なる席、安楽の席に座らせている
地上の公子たちよ、お前の両足に接吻させよ
彼はウルクの人びとがお前を嘆き悲しむようにさせる
彼は喜び満ちている人びとをお前への想いでみたしてやる
そしてお前が行ってしまうと、体を長い毛髪で覆い犬の皮を着て私は野原をさまようだろう」
エンキドゥは力強いシャマシュのこの言葉を聞いて
・・・彼の悩める心は落ち着いた。
シュマシュはエンキドゥに全ての結果は自分が決めたことだと言い聞かせているようだ。他者を通して自分の考え方を視点を変えてみることで全体像をエンキドゥにわからせている。
第三の視点をイメージ(想像)させる。
この世界の神の位置を表しているのか?
向かい合う関係の連続性を私はイメージさせる。
ひとと言葉を交わすことで 揺れが心の揺らぎが収まっていく。
まるで波のようにが凪状態に収まる過程に似ている。
第7の書板の続き
「・・・お前の居場所へ帰りたまえ
王たちも公子たちも 貴族たちもお前を愛するように
誰もお前のために太ももを叩くこと(嘲る行為)はさせぬ
お前に対して老人は彼のヒゲを握るがよい
若者はお前のために腰帯をゆるめるがよい
・・・青玉石と黄金をお前に
・・・お前をはずかしめた者は報いを得よう
・・・彼の倉はいっぱいだ
神々の前に神官がお前を導き入れるように
お前のために妻、七つの子の母は許されるように」
エンキドゥは体がよくないままに
一人横たわっていた
彼は心の中のすべてを友に打ち明けた
「友よ、私は昨日夢を見た
天は騒ぎ、地はそれに答えた
私は一人立っていた
彼の顔は暗くなった
彼の顔は・・・のごとく
その爪は鷲の爪のごとく
それは私を圧倒した。
それは飛びかかった
それは私を沈めようとした
そこで私の手は鳥のように
彼は私を見てイルカルラ(冥界の女王)の住まい、「暗黒の家」へ連れて行った
入る者は出ることのない家へ
歩み行く者は戻ることのない道へ
住む者は光を奪われる家へ
そこでは埃が彼らのご馳走、粘土が彼らの食物で
鳥のように翼のついた着物を身につける
そして光を見ることもなく暗闇のうちに住む
私が入った「埃の家」では
支配者たちが冠を外しているのを私は見た
私は公子たちを見た、冠を・・・.古き時より国を支配せる者を
アヌとエンリルの像に焼肉が捧げられた
焼いた肉が捧げられ、皮袋の冷水が注がれた
私が入った「埃の家」には
高僧と新参者が住み
呪術師と神がかりが住み
大いなる神々の洗盤掛たちが住み
伝説の王エタナが住み、スムカンが住み
冥界の女王エレシュキガムが住み
冥界の記録掛ベーリット・セーリは彼女のまえにひざまずく
彼女は書板をもち、彼女に向かって読み上げる
彼女は頭を上げて私を見た
そして言うには
「だれが」
この者をここに連れて来たのか?』
以下欠
エンキドゥの夢の話である。明らかに冥界の様子を語っている。2つの疑問がある。全てのものが地獄のようなところにいくのか?
それとも天国 地獄という概念がなく、みんな冥界という1つの場所に行くのか?
翼を持つ いや鳥のような翼を着ると描かれている不思議さ。
最後の部分は彼のなぜ死ななければいけないのかという疑問なのだろう。
第7の書板の続き
『我が友は夢を見たが、それは良いものではなかった
彼が夢を見た日は終わりとなった
エンキドゥはうちのめされ、第1の日、第2の日
寝台の上でエンキドゥの悲嘆は増した
第3の日、第4の日、・・・
第5の日、第6の日そして第7、8、9
そして第10の日
第11および第12の日
寝台の上でエンキドゥの悲嘆は増した
ついにギルガメッシュを呼び彼に言った
「我が友よ、・・・が私を呪った
私は戦場で倒れた者のように死ぬまい
私は戦いを恐れたし・・・
我が友よ、戦いに倒れた者は祝福されよ
だが私は・・・』
ここで第7の書板は終わる。
シュメール文明は世界最古の文明である。
であるなら、これが最初に考えられた死後の世界ということになる。
エンキドゥは何も悪いことはしていないのにと考えているからなのか?
それともこの時代には天国 地獄という生きていたことで選別されないのか?
ただ罪をなにをもってと考えるかなのかもしれない。罪を犯すとはなんなのか?
悪とは 善とは何を意味するのか?
どう彼らは考えていたのか?世界最古の文明は?
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