現在4(城北高校にて)
城北高校では、転落事故の時に教頭として勤務していた
数年前の事故を今更、何の調査するのだろうと訝しげで、対応もおざなりであったが、質問したことには全て答えてくれた。
「まあ、八雲は苦手だろうな。このタイプは・・・」
と龍太郎は思いながら、新しいクラブハウスが建った為に、跡形もなくなった事故現場の体育倉庫付近で当時の聞き取りを行った。
「報告書には書いてあったのですが、体育倉庫と言われながら、あまり使われて無かったようですね。」
「そうですね。実はメインと、サブの倉庫が有って、こちら側は、サブの倉庫でした。使用するのは体育祭がある時くらいでしたね」
「そんな倉庫になぜ、生徒が居たのですか?」
「私たち教員の落ち度でしたが、どうやら、たまり場になっていたようです」
「つまり、事故死した
美馬校長は、時計を気にしながら
「正直言うと、山梨と言う生徒には手を焼いていました。あと一回でもペナルティを犯すと、退学が決まっていました。いわゆる、不良の頭みたいな存在でしたね。刑事さん、申し訳ない、来客があるので、そろそろ宜しいでしょうか?」
龍太郎は、できたばかりの、クラブハウスを見上げながら
「お忙しい所、申し訳ありません。最後に一つだけ。報告書にあったのですが、その不良の子が、ウサギの人形?か何かを取ろうとした所、転落防止柵が壊れて落ちたと書かれてあったのですが・・・・」
「ああ、それは目撃した生徒が言っていました。手のひらサイズのマスコットが柵に結んであって、それを取ろうと寄りかかった所、壊れて落下したと」
「そのマスコットは、誰が結んだのでしょうか?」
「いや、それは分かりません。刑事さん。申し訳ないが行かないと。後は自由に見てください」
校長は、一礼して校舎に早足で戻って行った。
プライドの塊の様な不良がウサギのマスコットを、仲間がいる前で欲しがった?
妙な違和感を覚えたが、後は目撃した生徒に聞くしかないなと、龍太郎も校舎の方に歩き出した。
校舎に近づくと、「コンチャース」「コンチャース」と、丸刈りの野球部と思われる生徒が次々に挨拶していく。
龍太郎は、挨拶を返しながら、自分自身の青い春を思い出していた。
そういえば、また、
龍太郎は思わず、拳を握った。
相関図
濱野 龍太郎(千葉県警の刑事)
美馬校長(城北高校の校長)
山梨良治(過去に城北高校で転落事故死した生徒)
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