第194話 ユキ編3
あたしが目を覚ましてからは杏樹さんといろいろな所を旅したの。
お姉ちゃんのことも聞き込みして世界各地を探し回った。
その時にね、魔界って呼ばれているグランディール大陸に来たの。
勇者軍と戦争中ということもあって、人族がこの大陸に来るのは意外と簡単だったわ。
そして、この近くの村で魔界の統治者の一人を太刀を持った女の人が倒したって情報を得たの。
このお城を見つけるのは意外と簡単だったわ。
その時の番兵のゴブリンさんに聞いた話の中に、ここの城主のサキュバスをあたしのパパが考えた剣術を使って倒した女性だったことも確認できた。
それでまた来るかもしれないと杏樹さんの提案で、ここを拠点として探すことにしたの。
ゴブリンさんやオークさんたちは困惑していたけれど、杏樹さんの力でほぼ無理矢理住み込んだって感じだったけれど。
それが4年前かな?
杏樹さんの力で攻めて来る魔王軍や勇者軍を退け、逆に周囲の砦を手に入れることもできたわ。
それも取られたり取り返したり一進一退が続いていた。
あたしは何の力も無かったから、たまに杏樹さんが護身術として武者小路流を教えてくれたのよね。
そうそう、杏樹さんから聞いたのだけれど目を覚ました時、あたしの持っていた能力が消えてしまっていたみたい。
と言っても、今まであたしが意識して能力を使ったことは無いのだけれど。
その時は悲しい気持ちにはならなかったわ。
逆に嬉しかった。
あたしも普通の子どもになれたって……ね。
だけど、それも束の間。
北部の砦で反乱が起こったの。
元々、魔王軍のやり方に不満を持っていた者たちが集まってできた国だから、みんなの信頼関係は厚かった。
反乱が起こることなんて、まったく想定していなかったし、城にいる誰もが異常事態だと悟ったわ。
そこで捕らえた砦の守衛のゴブリンやオークが必ず口にする言葉がセツ様。
初めはあたしが無意識化でまた何かしてしまったんじゃ無いかと思った。
……そう、彼女が来るまでは。
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