12 エリアナside③
“__いつまで……”
「え?」
此処は、あの毎回始めに戻る場所__暗闇の中。
また同じように聞かれるだけだと思っていた。
相変わらず姿は見えないままに、聞きなれた声が響いている。
“__お前は、このままで良いと思っているのか…”
「このままって?」
“__何度も繰り返しているが、何も変わっていない。いつまで続けるつもりだ?”
「か、変わっていないはずないわよ!……確かに、最後はいつも同じだけど。……会話は毎回違うもの!」
“…………そうだとしても、決定的なことは何も変わっていない。”
「……なら、どうしろっていうのよ!……大体、この世界はあたしの世界でしょ!何で上手くいかないのよ!?」
“……どうやら、…………この人間の(ジジッ)に……(ジッ)存(ジジジッ)ぎてしまったせいか、………(ジッ)…のか。”
「え?なに?今何て言ったのよ?」
声の間に
“……お前の世界の書物にもあるだろう。一人の人間の為の世界だとて、全てが最初から上手く行くわけではないと。”
今までのことは、お前の試練だということだ。
子供を宥めるような言い方で、
見えないが、何だか笑われたような気がして、
あたしはムッとした。
“__どちらにしろ、現状から抜け出したいだろう?”
「!、そう言うってことは、何か方法があるのね!?……なんだ、それならもっと早く教えてくれたっていいじゃない?」
“……此れは、最後の手段と言ってもいい。この方法は、お前から対価が必要になる。”
だから最後の手段なのだ、と声の主は言う。
でも、あたしは今のこの状態を変えられるなら、対価なんて安いものだと思った。
流石に命までは取られないだろうと、対価が何か聞いてもいないのに、あたしは安易に大丈夫だと高を括っていた。
「その方法をとれば、あたしの望みは叶うのよね?」
“………言ったであろう。今までのことは試練だと。つまり、これも試練。
試練を無事乗り越える事が出来れば、___
「…………、ふーん。因みに、対価は何?」
“__お前の容姿だ。”
「容姿?」
あたしは暗闇の中で目を凝らす。
今のあたしはユリーナに生まれ変わる前の、日本人としての姿だ。
「ユリーナの姿じゃなくて、
それならば問題ない。あたしの望みはユリーナになる事なのだから。
美少女に生まれ変われるのに断る理由なんてない。
と思っていたけど……
“……そうとも言えるが、違う”
「どういう事?」
“__とりあえず、お前には力を授ける。その力の使い様によって、お前の容姿は変わるだろう。”
「……よくわからないけど、その力をちゃんと使いこなせればいいってことよね!
大丈夫よ!だってあたしは選ばれた特別な人間なんだから!」
“…………そうだな。お前は、確かに
「…え?」
またノイズ?が入り最後が聞こえない。
“……そろそろ時間だ。最後にもう一度聞く。
これからは、お前の動きによって未来は決まる。今までのようにやり直しは出来ない。
それでもやるか?”
「やるわ!」
念を押されなくても、あたしの心はすでに決まっていた。
“__お前には、協力者をつける。何か望みがあれば、その者に言え。力もその者から授かることになるだろう…………健闘を祈る”
その言葉を聞いたのが最後に、あたしは意識を手離し、次に目覚めたのは、
何処の民家のベッドの上だった__
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