10 エリアナside①※微グロ?注意


《残念だが、私と君では緣が合わなかったようだ》



~Game over~



「ああ~!!もう!またクリア出来なかった!」



15歳の誕生日、親に買ってもらったPS〇。


ずっと欲しいと言い続けていたおかげか、両親はゲーム機本体とソフトをセットでプレゼントしてくれた。



あんまり嬉しくて、元々好きでなかった学校の勉強が更に疎かになるほど、あたしはゲームにのめり込んだ。



嬉々としてやり始めたはいいものの、最初の選択肢で早くも挫折した。




ネットでゲーム内容や、スチル等のグラフィックは見たから、大体の流れは判っているつもりで余裕かましていたあたしはホントにバカだったと思う。



まさか、選択肢が鬼畜仕様になっていたなんて、誰も思わないだろう。


攻略対象を選び、最初のコンタクトでの会話が進んでゆく。



今やっているのは、あたしの一番の推しキャラ、エリアス王子様。


エリアス様とは、学園の入学式当日に、学園が広すぎて迷子になっていた所をエリアス様に声を掛けられる。


というのが出会いなんだけど、


もうその時の会話での選択肢で既に鬼畜度が半端ない。


迷子のヒロインに、エリアス様が「どうかしたのか?」と話し掛けるのだが、その質問に対しての返事である選択肢が、なんと10通りもあったのだ。



しかもどの選択肢も似たような意味合いの言葉ばかり。


「迷子になってしまって…」


「助けてください」


「あたしは〇〇(ヒロインの名前)です!」


「案内してもらえませんか?」


「貴方はもしかしてエリアス様!?」


「此処はどこですか?」


「会場に行きたいのですが……」


「キャ!カッコいい♡」


と、こんな感じで、あと2つも似たような物。


もうどれが正解か解らない。攻略本でもないと無理。


とりあえず適当に選んで進めるものの、次に現れた選択肢もまた10通りだった。



攻略サイトを見ると、全てのキャラ、選択肢が必ず10通りあるということが書いてあった。


1つでも選択肢を間違えるとbad end、Game overになるらしい。


なんという無理ゲー!?


まあでも攻略サイト見ながらやればクリアなんて楽勝でしょ!!


なんて浮かれていたあたしは、勉強を疎かにし過ぎた罰として、後から親にスマフォを取り上げられるなんて思いもしなかった。


あたし自身はパソコンも持っていないし、家にあるパソコンは親が使っていて使わせて貰えない。


スマフォがなければサイト見れないじゃない!と思って

クラスメイトにスマフォを見せて欲しいと頼んだけど、


なぜか皆嫌がって断られた。


なんでよ!?別に人のライン見るとかじゃないんだからいいじゃない!




結局、攻略サイトは見る事もできず、なら攻略本だ!と思ったけど、あたしのお小遣いで買える金額じゃなかった。


勿論、親にも買って貰えない。


あたしは自力でhappy end目指すしかなかった。




おかげで、あたしはもう何回も、いや、もう何十回?やり直している。


普通ならすでに諦めたり、腹が立って辞めるかするのだろうけど、


あたしは逆に意地でも攻略してやる!!と何回も繰り返していた。






そんな事を続けている毎日、親はもうそんなあたしに何も言わなくなった。


スマフォは相変わらず返して貰えないまま。



もう何回目かもわからない、聞きすぎて覚えてしまったエリアス様の、最後のセリフが画面に流れたある夏休み、


あたしは気分転換で自宅近くのコンビニに行くことにした。



この選択が、あたしの運命を大きく変えたんだ。







◇◇◇



コンビニに着いて、涼みながら買い物をしていると、


出入口に向かって来ているように見えるトラックが目に入った。


え!?ウソでしょ!?



そう思ってもトラックは止まる事はなく、そのまま勢いのスピードで向かって来ている。


入り口にはちょうど入ろうとしていたのか女の人がいる。



危ない!!



と思ったのと同時に、トラックが突っ込みガラスの割れる音、周りから沢山の悲鳴が飛び交った。



見ていられなくて思わず瞑っていた目を恐る恐る開くと、


其処にはトラックに下敷きになってしまった、女の人の腕だけが、トラックのタイヤの間から見えていた。




「あ、…あ…、……キャアアアア!!」


あまりの光景に、あたしは叫んでいた。


腰が抜けて、その場にペタンと座り込んでしまう。


入り口付近の一番近くにいたあたしの周りに、女の人の血が流れ、血溜まりが出来ていく。


その様子をあたしはぼんやり見ていることしか出来なかった。


衝撃すぎて、あたしの精神は一時的におかしくなっていたのかもしれない。



瞬間、目の前が眩しい光に覆われ、あたしは気を失った。












そして、

次に目覚めると、あたしは見たことのない森の中にいた___











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