*エリアス・クレーズ*

ここからはエリアスルートになりますが、

この話をお読みになるまえに、

共通ルート34話をざっとでいいので一度確認することをおすすめします


分岐前の話なんてもう忘れちゃったよ!

なんて言う読者さまがいらっしゃるかと。

作者ですら忘れてました汗

___________________







ガキーン!!




「っく、」





………殿、下?




激しい金属のぶつかる音がして、見開くと、


目の前の光景に驚くしかなかった。





「うわっと…殿下、魔法解くなら解くって先に言って下さいよ」



ついさっきまでエリアナの言いなりだった殿下が、水魔法で造った剣で

お兄様の剣を弾き飛ばし、先生に掛けていた拘束魔法を解いていた。




一体、どういう事だろうか?殿下は術に掛かっていたはずでは……?





エリアナは信じられないと言った顔で呆然としている。





殿下は助けてくれた……んだよね?



お兄様は………



「ぐっ、うぅ……」


お兄様は、苦しそうに頭を抱えながらフラフラしていた。


……お兄様っ!!





「…な…なんで、何でよ!?エリアス様!エリアス様が好きなのはあたしでしょう!?魔法が効いてた筈なのに…なんで……」



「…残念だが、もう君の魔法に掛かることはない。」



「そ、んな!?」




殿下に近付いてすがろうとするエリアナを、殿下は水の膜を魔法で展開し拒絶した。



「グランツァー先生、キリク殿を。」



「あ、ああ。」






先生にお兄様を任せ、殿下は私の側に来ると、そのまま跪き、私の手を握った。



「ユリーナ嬢…このままでは君は死んでしまう。だから、早く思い出すんだ」



「……?」



思い出す?



「君の本当の力は、誰かに奪われるようなものじゃない。」



本当の力……?



「本当の、本来の力は、君にしか使えない物。」



私にしか使えない……



「ユリーナ嬢、君も薄々気付いている筈だ。」



「…………」



「その心のまま、願えばきっとうまく行く。」


真実の聖女は、君しかいないのだから。


そう言う殿下の表情はとても優しくて……久しぶりに本当の殿下を見た気がした。






エリアナに魔力を奪われている筈なのに、聖女の魔法を使えた事。


最初は確かに使えなくて、だから本当に奪われたんだと思った。



だけど、そうじゃない。そうじゃなかったのだ。

何故なら、聖女の魔法は………





ゆっくりと、瞼を閉じる。



心のまま、深層心理の更に奥まで意識を向ける。



私の願いは____








『………やっと、気付いてくれたんだね。』




魂と魂の繋がり。は精神の奥底で、微笑みあった。










  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る