フワフワ、フワフワ……




心地よい陽気。周りは一面花畑。


その中央にある四阿で、陽気に身を委ねながら、お兄様を待っている。




自然とくる眠気に誘われ、私は抵抗することなく瞼を下ろした。













『……貴女は、今、幸せ……?』



___うん、幸せだよ。



『本当に………?』



………本当だよ。



『……嘘つき。』



…!!





『貴女は、気付いているはずだよ。』


………。


『まだ、何も終わっていない。』


…………、


『貴女は、現実に向き合うのが怖くて、逃げてるだけ』



……わかってるよ。



『……本当は、もう心は決まってる。そうでしょう?』



……此処が、あまりにも幸せすぎて……



『………そうだね。』



………楽になりたかった………



『……うん。』



貴女は……、いつも私達を見守ってくれてたよね。



『………』



私が決心する事を、待っていてくれてありがとう。



『……ううん。』



もう大丈夫。



『…わかった。』



………お兄様は……



『大丈夫だよ。貴女も、お兄様も、本当は……』



"それに、もう全ているのでしょう?"


彼女はそう言って微笑むと、私に近付き、私のへと吸い込まれていった。






ありがとう。


貴女は私。


私は貴女。



貴女の分も、

今度こそ、生きてみせる。













_______________



「ユリーナ?」



「……ん、お兄様?」


お兄様に優しく起こされて、目が覚める。



「…ユリー、何だかすっきりしたような表情かおをしているね。何か良いことでもあったのかな?」



「………お兄様。あのね……、」



「………」



「……あのね……」



いざとなると中々口に出せなくなって、言いにくそうにしていると、


頭上からフッと笑う声が聞こえた。





「……ユリーナ、大丈夫だよ。決めたのだろう?」



「!!」



まさかお兄様も気付いていたのだろうか。

そう思ってお兄様の顔を見ると、うんと頷かれる。



「私も、ユリーとのこの生活がとても幸せだったから、ユリーが決心するまでは…と思ってね」



「……お兄様……」



気がついたら私は泣いていて、お兄様に抱き締められていた。




「__もう、いいんだね?」



「はい。」



「わかった。では行こうか、私のお姫様。」



お兄様の言葉にコクリと頷くと、お兄様に抱き締められたまま、私達の体が光輝き、


次の瞬間には二人の姿は消えていた。







フワフワ、フワフワ……



二人が居なくなったその場には、周りの散った花びらが舞っている。







は、人の永年願ってやまない桃源郷。


生まれ変わるまでの通過点。




悪人以外は誰しも通る導。


新たに生まれ変わるとその記憶もなくなるという。











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