30
ピチャ………ン……
冷たく、暗い部屋に水音が響く。
あれから何日たったのか……、
私は牢獄されてから、
私の両手首には魔力封じの腕輪が嵌められ、
右足首には2㍍位の足枷を付けられた。
魔力封じの腕輪は、また私が聖女の魔力を奪わないようにと、魔法を使えなくするためだ。
牢屋に入れられる前にお兄様から貰った対呪術のための魔道具であるネックレスも外されてしまっている。
足枷まで付けて……
そこまでしないと私が危険だと?
まあ、周りには
私が国王に次ぐ人物である聖女に危害を加えたと思われているのだから、
それも仕方ないのかもしれない。
本当に危険なのは私ではないのに…
ハハッ、と、
乾いた笑いで自嘲する。
一体どうすればよかったのか。
考えても、考えても答えはでない。
ただただ、考えているだけで時間が過ぎていき、
もう何日たったのかかもよくわからない。
牢屋にいる間は、一応食事は与えられていた。
どうやら1日一食らしく、夜になると牢番が硬いパンと冷めたスープを持って来る。
牢番は何も話すことはなく、ただ食事を置いていくだけ。
私の顔を見る事もない。
最初は、ここから出して欲しいと、自分は無実だと訴えようとした。
だが、出来なかった。
何故か声が出なかった。いや、出せなかった。
魔力封じの腕輪を付けられた時に、喉に違和感があったのだ。
まさか、話せなくする魔法でも掛かっているのだろうか?
何故そこまでする必要があるのか分からない。
アマリアや、ウェルミナ、殿下は、今どうしているだろう?
呪いが掛かったままなら、私の事はどうでもよくなって
忘れられているかもしれない。
だが、あの冷たい視線を向けられるくらいなら、忘れられている方がましだろうと思う。
私は、何日経っても
私の事を信じてくれているお兄様だけでも、何時かは来るだろうと思っていた。
でも、どんなに待っていても、お兄様だけでなく、私に会いに来る人は誰一人として来なかった。
まさか、あの夢のように、お兄様達は………
私は牢獄でもあの悪夢をまた見るようになってしまい、
余計にそんな事ばかり考えてしまう。
力も出ない、最早まともな思考も出来なくなってきて、精神的にも限界に近くなっていた私に、
やっと誰かが面会に来た頃には、既にもうどうでもよくなっていた。
どうせ、誰が来たとしても、話すことも出来ないのだから、何も変わらない。
もう、疲れてしまった…
だから、
面会にやって来た
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