29
「ユリーナ、おはよう!」
「!アマリア、おはよう。」
私は教室の前で未だ入れずに尻込みしていた。
入らないの?と笑って言うアマリアに、今入るよ。と先にアマリアに入口を譲る。
良かった、彼女は何も変わってない事に少し安心した。
やはり皆は…なら、私がやることは変わらない。
そう自分に納得し、アマリアの後に教室に入る。
「…おはよう。」
だが、誰からも返事はなかった。
1度私に視線を向け、何もなかったかのように目を反らし、
皆周りの人と話はじめている。
いきなりクラス全員から総シカトをされ、愕然とした私はアマリアを目で探した。
ついさっきは普通に話したのだから、彼女なら…
と思ってアマリアを見ると、既に友人と話している。
きっと彼女は話に意識が行っていて私の事に気が付かなかったのだろう……と、そう思いたかったのかもしれない
「アマリ…」
「……」
アマリアに近付いて声をかけようとしたが、それに気付いたアマリアは此方に目を向け、
また皆と同じように反らした。彼女の顔は無表情だった。
あまりの変貌に声も出なくなってしまい、私は震えそうになる自分の体を抱きしめた。
アマリアは、教室に入る前は普通だった。
それは、明らかにこの教室内だけがおかしいという事に他ならない。
なら、この教室内をどうにか正常に戻せれば…
私は意識を集中させる。
両手を前に組み、昔、光魔法を使っていた時のように、祈りを込め………
「キャアアア!」
「!?」
いきなり聞こえた悲鳴に、祈りを中断して見れば、
エリアナさんが殿下にすがり付き、泣きながら私を睨んでいた。
「やめて!ユリーナ様、あたしの
「…え…?」
「いくら自分が聖女になれなかったからって、魔力を奪おうとするなんて…」
「っちが、そんなことしてない!」
誤解です!と私が何度も否定しても、誰も信じてくれる人はいない。
どうして…?ただ、私は皆を助けたかっただけ………
「ユリーナ嬢、…聖女を貶めようとした罪、見過ごす事は出来ない。」
「っ!」
困惑する私に、殿下が感情のない声で言った。
「………連れていけ。」
いつの間に来ていたのか、殿下の護衛騎士に捕らえられ、
私はどうする事も出来ずにそのまま連れていかれ、
放心状態だった私は、気が付いたらいつか夢で見たような牢獄に入れられていた。
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