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「……うぅ、っは、」
王宮にある一室で、男の呻き声が響いていた。
「貴方は誰のもの?」
「…わ、私、は….」
「あたしは、貴方の何?」
「…お…前は、私の…」
「貴方が愛しているのはあたし。」
「…そ、うだ。」
「あの女は私達の敵。そうよね?」
「…そ、…っぐ!ちがっ、」
男はそうだ、と肯定しかけて、頭を押さえながら苦しみだした。
「ちょっと!まだ言うこときかないじゃない!」
どういうことよ!!
と。苦しむ男に語りかけていた女は、横に立っていたこの世のモノとは思えぬ風貌の男に当たり散らす。
「…それほどこの男の意思が強いのだろう。今はこれ以上術を掛けるのはやめた方がいい。」
「何でよ!?」
「この男の意思が、術と反発して精神に異常をきたすぞ」
この男が、今後、何も喋らない、ただの人形になってもいいなら続けるがいい。
そう言って怪しげな男は闇の中にすぅっと消えていった。
「……どうして、こんな…………。全部、あの女がいるのがおかしいのよ!
本当は、あたしが、あそこに居る筈だったのに!
そうすれば、エリアスさまだって…」
1人喚く女の視界の端に映る男は、今もまだ頭を抱えながら苦しんでいる。
「……ぐぅ、う、ユ、リー…ナ…」
助けを求めるような男の声は、誰にも届くことはなかった。
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