幕間1(メイド視点)
私はメイドです。メイドAとお呼びください。この屋敷の家事から警備までこなすスーパーメイドなのです。
......嘘です。ごめんなさい、だから振り上げてる拳を下ろして〜。
それではテイク2です。私は見習いメイドです。周りの先輩方からは、アナと呼ばれています。ちょっと巷でブイブイ言わせていた所を5年前にスカウトされこの御屋敷で働く事になりました。実はこう見えて強いのです。
......まあ、家事やらなんやらはまだまだなのですが。
毎日、屋敷の警備をしながら家事や手入れを学ぶ日々のでしたがある時事件が起こりました。
アリシアお嬢様が男を連れ込んで来たのです。同い歳ぐらいの少年を......痛いです。訂正です。血だらけになった少年をジョセフさんと一緒に連れて来たのです。なんでも道の真ん中で倒れていたのこと。
連れて来た少年を空いてある部屋まで運び先輩のメイドさん達が治療します。私はその後ろで突っ立ってます。だって何も出来ないのですもの。
ですがここで驚く事が判明したのです。
「傷が治り掛けてる」
誰が言った言葉なのかは分かりません。ですが、あれだけの血を流して治り掛けている等ありえません。そんなの何か変わったスキルを持ってないと。
そこまで考え気付きました。この少年はユニークスキル又はそれに近しいスキルを所持していると。きっとこの屋敷の人ならみんな気付くでしょう。
それからと言うもの屋敷のメイド達で寝ているこの少年の世話をし、時々アリシアお嬢様も手伝います。ですが彼が目覚める事はありません。医者が言うには、彼のスキルが彼を回復させる為に意識を閉じてるとのこと。
言ってる事が全く分かりませんが治れば目が覚めるってことでしょ。難しい事を言わずに簡単に言えよ......はい言葉遣い気を付けます。
彼が屋敷に来てからもうすぐ1年。彼はまだ、目が覚めません。そんなある日、私が世話当番の日。アリシアお嬢様が手伝いに来ていました。手伝いに来るお嬢様はいつも頬を染め可愛くなります。萌えです。
そんなアリシアお嬢様が彼の体を拭きながらこんな事を言って来たのです。
「ボクね、彼を初めて見た時血だらけで驚いたの同時になんか体に稲妻が走ったみたいになったんだ。それから彼を見る度に胸が苦しくなるの。これって何かな?」
それを聞きピンと来ました。いや元々気付いていましたが、こう言葉にされると確信に変わります。ですが教えてしまったら今度は私がモヤモヤしそうです。
きっと、それは実る事にになるでしょう。私は出会い無くして寂しくおばあちゃんになるでしょう。
そして、この時を思い出して私が言わなければお嬢様もずっと独身の可能性がきっとあったのにと。私は身を切る思いで葛藤する事5分。その間、お嬢様は心配して声を掛けてくれていたのを気づかず。
「そ、それは......一目惚れってやつですね。ははあ、お嬢様は恋をしてるのです」
言ってやったよこんちくしょう。それを聞きお嬢様は「これが恋か。そっか恋か」ってなんかピンク色のモヤモヤが見えそうなぐらい眩しく見えます。くう、口から砂糖が出そうです。
そして3日後、少年、学君は目を覚まします。それから意外と奥手なお嬢様のメイド達監修で教材として『 サキュバスの必殺 』と言う本を使った恋愛講座が開かれたのも直ぐでしたが、それはまたの話に。
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