第四十四話 【side陸】クリスマスがやって来た! その二
幼馴染の陽菜と恋人同士になってから早一年が過ぎ、いよいよ明日は(俺的に)決戦のクリスマスイヴ。去年はまだ陽菜と恋人になったばかりでクリスマスの恋愛イベントは特に無かった。今年は気合を入れて地元のショッピングセンターで陽菜へプレゼントするアクセサリーを購入したので、後は明日夜の食事会の場で陽菜に手渡すだけだ。
陽菜へのクリスマスプレゼントは陽菜の誕生月である2月の誕生石『アメジスト』と、天然ダイヤが付いているハート型をモチーフにしたネックレスに決めた。自分としては結構奮発して購入したのだが、紫色のアメジストがきっと陽菜によく似合うはずだ。そして食事の後はいよいよ陽菜と……。ムフフ、緊張するなぁ。
「陸、独りで妄想にふけっていないで家の掃除を手伝いなさい。明日は陽菜ちゃん家も来るんだから!」
「分かった、分かった。手伝うって」
母さんがボーッとしている俺に声をかけてきた。いけない、いけない……。陽菜への想いが募ってイケナイ妄想にはまってしまった。
ちなみにうちの両親と陽菜の両親は俺たちの恋人関係に理解があるため、特に問題はない。「うふふ、早く孫の顔が見たいわ~」などと冗談を言ってくるぐらいだ。
「はぁ、結衣は結衣でさっさと出かけてしまうし……本当、困っちゃう」
母さんがため息をついている。
そういえば、妹の結衣は「明日のクリスマスプレゼントを買いに行ってくる」と言ってさっさと出かけてしまった。まだ小学五年生で決まった恋人もいないのに一体誰にプレゼントするんだか……。あれっ、そういえば結衣はまだサンタを信じていたはずなのに、いつの間にサンタがいないことに気付いたのだろうか?
「アォン」
ももが掃除している母さんにすり寄って甘えている。ももにしてみれば掃除=遊びに見えるのかもしれない。
「もも、明日は陽菜といい雰囲気になれるよう、お前も協力してくれよな」
「アーオン」
いよいよ明日陽菜と一歩先に進む覚悟を決めた俺は甘えん坊のももの頭をなでながら、クリスマスツリーの飾りつけを準備し始めたのだった。
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