第三十八話 里帰りしました その一

 皆さんこんにちは、あたいは柴犬のももです。陸くんのお母さんと一緒に昼ドラ・夜ドラをよく観るけれど、あたいには最近不満なことがある。それはあたいが好きな時代劇がテレビで放映されないこと。どのチャンネルもみんな同じような刑事物ばかりで面白くない。おまけに死体があんパンまみれとかもう全く理解出来ないや。やっぱり日本犬には時代劇が一番似合うはずだ⋯⋯と思う。


 閑話休題。


 夏のある日、あたいは里帰りすることになった。

昼ドラ風に言えば「実家に帰らせていただきます!」かな? 別に陸くんと喧嘩した訳じゃないけどね。


 先日あたいも二歳になったので、ここらで両親犬にも会わせてあげようという新田家からの有り難いご配慮だ。正直親元を離れてもあたいは新田家のみんながいるからちっとも寂しくはないのだが、近くで飼われているという弟たちには久しぶりに会ってみたい。


 また今回は新田家以外に陸くんの恋人である陽菜も一緒に同行するらしい。お父さんはせっかくだから、みんなで以前訪れた近くの川にある鮎やなに行こうと言っていたよ。


 前回は山を二つ越える(あたい的には)かなりハードなルートだったが、今回は迂回ルートで平坦な道を通ってくれるらしい。車酔いするあたいにとっては朗報だ。


◆◆◆


 そして週末、地元の緑の丘を朝出発。途中何度か休憩を入れながら、あたいの故郷(実家)にはお昼前に到着した。平坦な道だったので、今回はあたい車酔いしなくて済んだよ。


 事前にブリーダーさんに連絡を入れていたらしく、すぐにあたいの両親犬のもとへと案内された。


 いよいよ父ちゃん、母ちゃん、それに弟たちとの再会だ。やっぱり少しだけドキドキするね。みんな覚えていてくれるかな?

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