第七話 土地神様に相談されました
あたいの散歩デビューから数週間後。今日は帰宅した陸くんと一緒にお散歩中だ。
緑の丘の散歩コースには緑豊かな公園などがあり、あたいのお気に入りになっている。でもなぜか今日も幼馴染の
ところで、先日スキルに追加された霊感についてはようやく使い方が分かってきた。このスキルを使うと霊体が
つまり”
結果、あたいがお外を散歩しているとよく”
◆◆◆
『おーい、誰かぁ、わらわの声が聞こえぬか……』
そんなあたいが散歩コースにある小さな神社の前を通過していると、どこからか弱弱しい女性の声が聞こえてきた。
あたいが耳を澄ますと神社の境内からのようだった。あたいはぐいぐいとリードを引っ張り、小さな鳥居をくぐり、陸くんと陽菜を連れて境内へと立ち入った。女性の声は小さな
「へぇー、あたし、この神社に来るの、ずいぶん久しぶり」
「俺もだ。昔はよく遊びに来てたっけ」
「ねぇ、せっかくだからお参りしていこうよ! あたし、小銭持っているから」
陽菜と陸くんが昔の遊び場を
「はぁい、あたいには聞こえてますよぉ」
あたいが返事をすると、いきなり目の前に見たこともない古めかしい
『そこのお主、わらわが
「えぇ、
『わらわはこの土地の神で”ヒメ神”という』
「ええええっ、ヒメ神様⁉ じゃあ、あなたも神様なのですか?」
『うむ、その通りじゃ! お主、神を知っているとはどうやら転生前の記憶を持って生まれたようじゃの』
「はい、あたいは
あたいが名前を名乗って、ははーっと伏せの姿勢を取ると、ヒメ神様はあたいの頭をなでなでしながら昔話を始めた。
なんでもヒメ神様が土地神として奉られているのは五百年以上も続く、由緒ある神社らしい。でも最近はめっきり
「そ、それは大変なことですね」
『うむ。そのためにもこの神社への参拝者を増やし、皆の信仰心を高める必要があるのじゃ』
「あたいにも何かお手伝いが出来ればよいのですが……」
『そうじゃのぉ……例えばお主がこの神社にお参りしてくれれば、それを見た人間たちがきっとわらわのご
「そ、そんな簡単にいきますかね。ところでご
『ふむ、わらわは
「
『そうじゃの、例えばお主が誰かと
「へーっ、ヒメ神様はすごいんですね……うんっ?」
あたいは仲たがいした二人の仲を修復出来るという言葉がとても気になった。
「それって……例えばあそこにいる二人にも当てはまりますかね?」
あたいは境内を散策している陸くんと陽菜のことをヒメ神様に聞いた。
『疎遠になった者同士か……最終的には二人の意思の問題じゃが、わらわが強制力を働かせることは出来るぞ』
「それはすごいです‼ ぜひともあたいに協力させてください」
あたいは陽菜と仲直りしたい陸くんを応援するため、ヒメ神様をお手伝いすることにした。
『そうかそうか、ありがとの。ほれ、お主の飼い主がやっているのを
見ると陸くんと陽菜の二人が
『あれは”二拝二拍手一拝”という作法じゃ。もちろん真剣な気持ちを込めてやるのじゃぞ』
「なるほど……じゃあ、あたいも
あたいはお座り姿勢になり、まずは二回頭を下げ、それから両方の前足を上げ、出来るだけ揃えるポーズを取りながら二回足元の石畳に向けて両足をゆっくり振り下ろし、肉球でポンポンと叩く。最後にもう一度頭を下げてお参り終了。
「「ええっ、も、もも(ちゃん)、なんでお参りが出来るの⁇」」
陸くんと陽菜があたいの”お参り”を見て
何とか二人を
『ところで……ももよ、お主はなぜ自分がこの世に転生できたのか、知っているのかぇ』
「えぇ、神様からは今世で善行を積んでくるように言われているんです」
『普通はそんな理由だけで転生は出来んぞ』
ヒメ神様はそう断言した。あたいも確かに不思議に思うが、きっと神様には神様なりの理由があるのだろう。
「もしかしてヒメ神様はその理由をご
『うーむ、この件でわらわがお主に伝えることはない……が、一つだけ、このまま善行を積んでいくことがきっとお主のためになるだろう』
ヒメ神様は
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