ロマンチストの見る夢
Scene.024
ロマンチストの見る夢
或る日、ロマンチストという言葉を調べた。意味は“甘美な空想を好む人”とあった。フェチシズムにもこれは適用することができるのだろうか。人間の嗜好は、様々な形態で表現されるものだ。制約の多い現代でも、それは適度に許容されている。否、制約だらけの世界であるが為に、禁断の恋というものに惹かれるのだろう。
私は人目を避け、この薄暗い地下室で、たったひとつの愛の形を追い求めてきた。この世界の価値観から見れば、私は罪人であろう。私はカリギュラでもエリザベート・バートリーでもでもないのだから。
紅茶のカップに口付けする彼女の双眸の先には大きな古びた棚あった。そこは瓶詰めされた眼球が並んでいる。そのひとつを手に取り、蓋を回し、眼球を摘み上げた。
そして、それを口に運び、噛み砕く——
これにて、了。
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