まどぎわ

荼八 十吾

第1話

錆び付いたラジオのアンテナが ガタつきながらも 遠くの電波を受信します


スピーカーから流れる音は如何せんノイズまみれで

いくら耳を澄ませたところで雑音でしかありませんでした


チャンネルを変えても変えても 彼はお前には聴こえたところで仕方ないと言われてしまうのです


雨粒が網戸を通り抜ける

六畳一間

殺してくれと嘆く亡者に

私は笑顔をくれてやりました


傘を持ってもささずに帰る私に誰か声をかけてください


これ以上錆びれるまえに

明日には明日には

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

まどぎわ 荼八 十吾 @toya_jugo

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る