第2話 : 偵察の代償
『今日の報告を行います。今日の部隊の隊員は中央本部まで集合を願います。』
基地中央にそびえる、真っ黒の塔から放送が流れた。
「偵察報告会議か、私は先に行くよ。紡また後でね。」
そう言って、シルフィールドは本部に向かった。
【偵察報告会議】
俺はこの時間が1番嫌いだ。
中央本部まで集合する道程に人が集まり家族の安否を確認する場合が多いからだ。
「ママ、お兄ちゃんがいないよ?お兄ちゃんは?ママぁ」
俺達はその姿を見て、ただ歯を食い縛っていることしかできない。
そうしてたどり着いた中央本部の最上階で今日新たにわかったことと、今日の被害を確認する。
「今日はに60名の隊員の内24名が勇敢な死を遂げた。彼らに大いなる感謝を」
と、1番奥の席に偉そうに座っているNEOの会長が言うが、なにが勇敢な死だよ。
人の死を勝手に飾るんじゃねえよ。
と死人が出るたびに俺は思ってしまう。
死んだ人たちは肉体どころか骨までなくなる。
それがキューブのもう一つの役割で、痕跡を残さないように脈が止まると爆発する。
「あなた達の仇は俺が必ずとります。今までお疲れ様でした。」
俺は、一度墓跡に頭を下げて帰路に着いた。
————————
家について
ガチャ
とドアを開ける。
........
誰もいない薄暗く静かな部屋。
住んでいるのは俺だけ、親や兄弟はもういない。
寂しがるだけ無駄だと思い、部屋の電気をつけると、突然クラッカーの音がなり
「紡!お誕生日おめでとう!」
とそこにはシルフィードがいた。
ああ、今日って俺の誕生日だったな。
「ああ、ありがとう。」
一言お礼を言って、ふとしたことに気づく。
「お前、なんで俺の家入れてんの?」
「あ、気づいちゃう?」
「気づくわ!そんくらい!」
「マスターキー持ってるんだもん。」
「持ってるんだもんじゃないって、はい出て行ってくれ!」
俺はシルフィードの背中を押して部屋から出そうとする。
「いいじゃないか〜、祝わせてほしいな〜。」
その時、突然、俺の視界が歪み始め、力が抜ける。
「あ〜、やっぱり祝って欲しくなった?。」
気づいてないシルフィールドは、呑気なことを言いながら振り向く。
そのときには俺の体はバタンと地に伏せていた。
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