第2話

 彼とは同じ会社の同期。入社して1年後、付き合って2年経つ。


 彼は今、愛知県の名古屋市に住んでいる。短期間の転勤。本来なら4月からだったのが早まって、年明け、1月に名古屋に引っ越した。


 『長くて2年』というアバウトな短期間。早まる可能性も十分にある。私は迷った。考えた。名古屋なら東京から新幹線ですぐ。同期だし、ずっと彼を見てきて、仕事も男としても信頼できる彼。私は東京に残ることに決めた。


 週末は私か彼、どちらかがどちらかに会いに行く。転勤しても、彼は何にも染まらず何も変わらず、想いやりも笑顔も、何も変わることはなかった。


 一人だけど、独りではない。でも、いつからだろう。ひとりの時ふと、寂しさを感じるようになったのは。


 仕事で失敗して、悔しくなったり。友人とうまく意志疎通ができなくて、悲しくなったり。部屋でひとり、急に恋しくなったり。そんな日は、夜中でも、どんな時でも、いつでも会えた。会いに来てくれた。彼が東京にいた頃は。


 寂しさは大きくなる。初めは一時いっときだけだったのに、時間になり、期間となり、果てなく長く感じるようになっていった。


 彼と、彼の想いやりというぬくもり。それが今はない、そばにない。こんなこと、簡単に想像できたはずなのに。想定外の虚しい生活。私は事を甘く考え過ぎていた。


 そんな時だった。

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