第6話

 夕方になると、雨はだいぶ収まり、仕事に行っていた両親も今日は早く帰ってきた。

「風呂、入っちゃって、ねぇ」

「分かったよ、入ってくるわ」

母に言われたから、風呂に入ってくる。こんな遅い時間に入る風呂も悪くない。

すると、母が僕を呼んだ。

「、、スマホなってるわよー」

「で🎶で🎶でんわだよーー」

なぜか、妹まで便乗してきた。まったく、人がいい居心地だって時に、、、

「ほいほい、ちょますぐ行く。」

急いで風呂をあがる。タオルで軽く体を拭いていると、妹がスマホを持ってきてくれた。

「はい、もしもし、、」

誰だよ。

手の中の小さな塊からは、水が流れるような音と、雑音しか聞こえない。

「っっつ、誰だよ」

と、言って電話を切った。


 次の日の朝、衝撃的なものが僕の目に映った。家より下流の地域の家々が、衣川の増水によって流されていた。あの、ニュースで毎日で見た西日本豪雨災害と同じようなものが僕の目に映っていた。それが自分の住んでる県で、それも、自分の住んでる市で、街で、

信じられなかった。信じたくもなかった。夢であって欲しかった。僕の家自体は上流のほうにあったからまだ良かったものの、、、、千早の家は下流にある。

「千早っ!」

電話をかけてみたが、応答がない。まさか、、、、。いや、千早に限ってそんなことはない。そう願うしかなかった。

細い細い糸がプツリと切れる音がした。

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