第4話

 次の日から、千早が普通に話しかけてくれるようになった。ただ、周りの奴らは冷やかしに来るだけだ。

「ノート貸して、」と千早。

「いいよ」と僕。

そんな他愛もない会話がふえた。

「え、closer聞くの??」

「うん、好きなんだよね。最近ハマってる。」

「私も、最近めっちゃ聴いてる。好きこの曲。」

趣味の話まで、一時期から見れば信じられない。話してるだけで楽しい。それが千早の魅力かな、と思う。話してるだけで幸せと思うと、付き合うとか何の意味があるのかと思ってしまう。

付き合うで終わる恋もいいけど、片想いで終わる恋も素敵もいいな

なんて、、、

 夕日を見に千早と高台に行った。そこからは街が一望でき、綺麗な夕日が見れることで有名だ。小一時間で帰ったが、その時間が幸せだった。帰る時には、電灯の光が町中を照らし始めていた。千早を家まで送って、急いで家に帰った。


 家では妹が“本橋さんの天気予報”を見ていた。

「明日、大雨だってー」

妹が悲しそうに言った。なんでも、楽しみにしてた遠足があったらしい。

「ふーん。ドンマイ」

多分他の家庭に比べて、かなり良好な関係を妹とは築けている。両親が二人とも、仕事が忙しく小さい頃からいつも一緒にいた。

「あーあ、ぁぁぁぁぁああ」

「発狂すんな、ばかっ」

想像以上に落ち込んでる。落ち込んでるっていうよりは、気持ち悪いかもしれない。

確かに空は陰り、雨雲が掛かっていた。

本当に大雨になりそうだ。

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