第32話 ガルイの違和感

日曜日の昼。いつもガルイが来る時間なのに、いつまで経っても、ガルイは来なかった。だから、私は心配になって、彼の家に行ってみた。


「ガルイー?」


ガルイの名前を呼んでも、返事はなく、あいにくガルイの養親であるおじさんもいなかったため、私は、少しだけ店の奥に入って、再度名前を呼ぼうとして、そこで目を疑った。

私の前には、こちらに背中を向けて座っているガルイがいたのだが……


「え……? ガルイ……?」

「うわ! びっくりした〜! リアナか」

「その耳、尻尾……」


なんと、ガルイの頭には耳が、腰辺りには尻尾が、そして、振り向いたガルイの指には鋭い爪が生えていた。


「僕、考えたんだ! こうすれば人狼に襲われないってね!」


そう言うガルイに、私は違和感を覚えた。なぜなら、それがどう見ても本物のようだったからだ。しかも、直に生えているように見える。そして、第一、あの鉄製のはしごは選ばれた人狼だけしか上ることができないのに……


「え、でも……」

「例えば、人狼に見つかったとしても、人狼のような恰好をしていれば、一瞬の間でも人狼は戸惑って襲われないか、襲われそうになっても、戸惑っている間に逃げることが出来ると思うんだ!」

「うーん……」

「まださ、作っている途中だからさ、出来たら、一番に見せるよ!! だからそれまで楽しみにしててよ!!」

「うん、分かった……あ、ちょっ……」


そう言うと、ガルイは私を帰すように急かして、私は追い出されてしまったのだった。


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