人間国

第30話 トール家の悲劇

「トポルガン隊長! トポルガン隊長!!」


軍に見つけられたトポルガンは、見るも無残な姿だった。うつぶせになったトポルガンの背中の左側には、大きな穴が開いていて、そこら中一体が血の海だった。そのまわりには、小さな血痕がいくつか続いていて、あの小さな人狼が持ち帰る際に、滴ったものだと考えられた。

トポルガンの死は、ガルイとリアナの耳にも届いていた。


「まさか、トポルガンさんが亡くなったなんて……」

「ほんとだよな……」


次のリーダーは、後々決めるとされていて、トポルガンの死によって、人々は悲しみに暮れた。


トポルガンがいなくなったので、その娘は、他人に引き取られたが、まもなくして、やってきた人狼に見つかり、心臓を取られて、亡くなってしまった。

人々は、これを「トール家の悲劇」とし、後世に語り継ぐために、書物にしたのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る