人狼国
【人間 vs 人狼】ゲーム
第27話 復讐
僕の決意はとても堅く、復讐に燃えていた。簡単に拘束できるほど弱いこいつに呆れながら、僕は今までのことを思い出した。必死に忘れていた悲しみが、再び僕を包んだ。テルイ……テルイ……。
「いつか、いつかってずっと思っていた。やっと……やっと、
「離、せっっ!!」
トポルガンは振りほどこうと必死に体を動かしたが、全く意味はなかった。
「ムールイさんに聞いて、お前の情報はある程度、知っていた。僕の狙いは、最初からお前だったんだぁー! 途中で見つけた大砲をブチかませば、誰か来るかなって思ったけど、ビンゴだったよ……」
「……っっ」
「…………テルイを返してよ……テルイを返せ……テルイを!! 返せぇっっ!!」
「!?」
グシャッ
僕は、鋭い爪の生える手で、こいつの背中を貫いた。
「か、はっ」
こいつが前に倒れるのと同時に、僕は背中から飛び降りた。僕の手には心臓が握られていて、そこから真っ赤な血が滴っていた。僕はそれをじっと見つめた。テルイ……テルイ……これで君の仇はとれた……? 君はこれで喜んでくれる……?
「……」
「ありがとう」
「っっ!!」
僕の耳元でそう聞こえた気がした。僕は見渡して、必死にテルイの姿を探した。だけど、いるはずもなかった。
「分かっていたよ……君は戻って来ない……テルイィ……」
僕の言葉は寂しく響いて、涙が溢れそうになった。けれどそこで、こちらに近づいてくる人々の声が聞こえて、僕は足早にその場を去った。
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