時は遡る【終】⇧人狼国⇧
第26話 親友
「ムールイさん、こんにちは! 今回の、僕が選ばれました!」
「おう! そうか! じゃあ早速、戦略を考えるか!」
「はい!」
僕が今回、選ばれたことを言うと、ムールイさんは、笑顔で返してくれた。僕は嬉しかった。だが、それが取り繕った笑顔であることを僕は知っていた。
「あの、ムールイさん」
「おう、なんだ?」
「なんで、いつも悲しい顔をしているんですか?」
「っ! ……し、してないさ」
「嘘だ。今だって不自然な感じで」
「ははは、何を言ってるんだ」
「テルイ、死んじゃったんですよね……?」
「!! ……どうしてそれを……」
「最近、テルイの姿が見えないから……」
「……」
やっぱり、そうだった。最近、テルイを見ないと思っていた。いつも、一緒に遊んでいたのに。ムールイさんに聞いても、勉強しているとか、寝ているとかって返事しかくれなかったんだ。ムールイさんが帰って来た、その時、その日からムールイさんを見ると、そこに笑顔はなくて、笑っても、それは取り繕った笑顔なのが、子供の僕でも分かったんだ。
戦略を考え終えると、ムールイさんは、テルイのことを僕に全部話してくれた。僕は、大粒の涙をこぼしながら聞いていた。
そして、聞き終わってから、僕はムールイさんにおぼつかないながら、お礼と励ましの言葉を言って頭を下げた。励ましの言葉なんて、子供ながらの言葉しか出てこなかったけれど、それでも、僕はムールイさんに元気になって欲しい一心で、必死に伝えた。ムールイさんは、ありがとうって一言、また取り繕った笑顔で言っただけだった。
僕は決意した。一緒に考えてもらったけれど、僕は、復讐することにした。ムールイさん、ごめんなさい。やっぱり僕、親友だったテルイの仇、とりたいです。
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