第23話 ネルコ
ネルコ……ネルコ……ネルコ……俺のネルコ…………
トポルガンにとって最愛の妻―ネルコが人狼によって殺されたことは、彼の人格を変えてしまうほどのものであった。
病院から帰ってくると、家には即死の妻が横たわっていた。近所の人が、血だらけの妻を綺麗にしてくれて家まで届けてくれたのだ。のちに火葬をするつもりだ。抱っこしていた娘を、雑に立たせてから、厚い白い布の上に横たわる妻の横に腰を下ろした。
「お前はこんな時でも綺麗なのか……」
目をつぶるネルコはまるで寝ているようだ。若干顔の血色が悪いだけでいつもの寝顔と変わらない。変わらないはずなのに……。もう、動きやしない……。
「ママはおねんねしてるのー?」
「……」
「ママはいつ起きるのー?」
「……」
「マ……」
「ママはもう帰ってこないんだよっっっ!!!」
「!?」
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