第19話 恐ろしい笑顔
急いで辺りを見渡した。自分の周りにはいない。
遠くを見渡した。そして見つけた……男の後ろに。
「テッ……」
声を出そうとしたが即座に辞めた。まずい、男に気づかれてしまう。テルイと目が合った。俺は必死に目で訴えた。だが、それは意味がなかった。
「パパーーー!」
「!?」
「!?」
男は後ろを振り返った。そして俺の方を見た。テルイが俺の方に向かって言っていることを確認した男は、選ばれた人狼以外に、人狼国の人間がいることの奇妙な点に気を取られずに、片方の口角を思いっ切り上げて、恐ろしい笑顔で俺を見てきた。まずいっ!! 俺はテルイが殺されると悟った。
「テルイ!!! 逃げろろろろっっっ!!!!!!!」
「え?」
少し戸惑ってからテルイは手に何かを抱えたままおぼつかなく走り出した。何かを抱えているせいで上手く走れていない。男はテルイの後を追い始めた。そして俺も後を追い始めた。三人が去った場所には小さい女の子の声だけが響いていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます