第16話 テルイ

「ばぁっ!!」

「テ、テルイ……!?」


振り返ると、そこにはテルイがいた。


「えへへ、パパーー! ここが人間国なんだねー!」

「なん、で、寝てたんじゃ……」

「寂しかったから……隠れて、ついて、きちゃった……」


俺は驚きすぎて、既にゲームが始まっていることを忘れそうになった。まずい、ゲーム内は危険であるのに……。それにどうしてはしごを一緒に上ることが出来たんだ……?


「テルイ、どうして一緒に、はしごを上れたんだ?」

「うーん分かんない! 神様は気づかなかったのかな? それじゃ神様ってバ……」

「こら! テルイっ! 神様を侮辱してはいけないとあれほど教えただろう!!」


被せるようにして、早口で小さくテルイを叱った。神様の実態を見たものはいないが昔から神様はいると伝えられてきた。神様は計り知れない力を持っていてため、神様を侮辱する者には天罰が下ると信じられているのだ。


「ご、ごめんな、さい……」


泣き出しそうになったテルイを見て、このまま泣き出してしまったら、人間にバレてしまうと俺は思った。焦った俺は、テルイをなだめて、手をひき、ロスした時間を取り戻すように、足早にその場を去った。

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