第13話 バ・カ

バンッ!!


「…………っっ!!」


大きな音が鳴った。トポルガンは人狼を仕留めたと思った。だが、人狼は俊敏に、華麗に銃弾をよけ、足の間を通ってトポルガンの後ろに回り込んだ!!


「ぐはっっ!!」


そして、背中の防具をとてつもない力で引きちぎり、一発背中にパンチを入れて飛び乗ると、銃を落としたトポルガンの両手を後ろに勢いよく引っ張って片手だけで拘束してしまった。


「!? ぐっ離……」

「あはは、弱いねー! 防具とか全然意味ないし! 僕、強いでしょ? 子供だからって見くびってたのお?」

「……っ」

「僕の演技に騙されちゃって面白いよねー! そんなに僕の演技が上手だったの?」

「……」

「もぉ、何にも喋んないじゃーん、つまんない!」

「ぐはっっ!!」


拳で殴られた頬に、鋭い痛みが走った。


「あのさぁ? 君たちの対策は弱すぎるよ? 家の周りに仕掛けていた罠とか余裕で避けて、屋根に上ることが出来たし? それにさぁ、家と家の間、開けとかないと視界に移らないように飛び移ることが出来るんだよ? それが分からないほど、バ・カなの??? あはは!!!」

「調子に乗る……」

「乗ってんのはどっちだよっ!!!!」

「ぐへっっ!」


再び拳で殴られた頬に、鋭い痛みが走った。


「ムールイさんの息子を殺して、調子に乗っているのはそっちでしょっ!!!」

「……?」

「僕たちの国にはね、ムールイっていうリーダーがいるんだ。僕はね、ずっとムールイさんに憧れていたんだ。とっても強くて、いつも僕を訓練してくれてるんだ。よく出来たって満面の笑みで褒めてくれるんだ……なのに、その笑顔は消えてしまった。お前のせ・いでな!!」

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