第11話 倉庫の煙

少し走ってから、トポルガンはゆっくりと速度を緩めて歩き出した。


住宅街に来たトポルガンは、周辺をくまなく探した。電気のついていない、たくさんの家を等間隔に建てられた街灯が照らしているが、やはり街灯があっても暗い。トポルガンは目を凝らして探した。


ドォーンッ


「!?」


大きな音が聞こえて、思わず後ろを振り返った。


「なん、だと……?」


さっきまで自分がいた倉庫から煙が出ている。トポルガンは来た道を急いで戻った。



倉庫に戻ってきて唖然とした。


「あ、あぁ……壁が……」


倉庫の壁に、大きく穴があいていたのだ。警戒しながら大きな穴をくぐったトポルガンは足を止めた。


「ひっひくっ……ごめんなさい……」


トポルガンの目の前には、耳を垂れさせ尻尾を巻いてビクビクと怯える小さな人狼がいた。

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