第8話 日曜日 夜

リアナと別れて家に帰った。しばらくすると夜になった。


僕とおじさんは、防具を身に着けてそれぞれ武器を持つと、電気を消して二階にこもった。玄関、僕たちのいる部屋のドア、家の周りにも罠を仕掛けている。僕は速く脈を打つ心臓を手で押さえて、落ち着け落ち着け、と唱えた。


窓から、壁の方を見る。十時になって現れた鉄製のはしごが月の光に照らされてきらきらと光っている。


「来たっ!」


小さく、おじさんにそう言った。おじさんは頷いた。壁の向こう側から、ちょこんと二つの耳が見えて壁をまたいだ人狼は大きく遠吠えをすると、はしごを最後まで下りずに、人間国うちのりょういきに飛び降りた。


人狼ゲームの開始だ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る