第6話 日曜日 朝

ついに、この日がやってきた。


人狼が、今日は人狼が来る。絶対に負けはしない。


日曜日の朝は空気が重くて張りつめている。いつものことだがやはり、居心地がいいものではない。早く終わってくれ、と何回も心の中で僕は唱える。

みんな、せっせと準備をしている。防具、武器の確認、家の周りの確認。僕もおじさんと一緒に準備に取り掛かった。


日曜日になることで一番気がかりで憂鬱なのは、夜にリアナに会えないことだ。日曜日は歴代続くルールが施行される。それは、夜になったら自分の家に、防具を身に着けて、武器を持ってこもり、玄関や家の周りに罠を作って、家の電気を消すことだ。電気をつけると、そこに人がいると分かって人狼は直ちにやってくるからだ。

だが、最近では、家にこもらずにわざと電気をつけておくことでそこに誘導し、殺すことができるのではないかという案が出ている。それは今はまだ検討中で施行されていないのだが。


夜になれば、リアナに会えなくなるので、僕たちの誰かが人狼を殺して片耳を切り取るか、それとも嫌な話、僕たちの誰かが人狼に殺されて、心臓を持ち帰られるかするまでは、僕はリアナの安否を知ることが出来ないのだ。ましてや、僕が殺されてしまったら、僕は彼女に二度と会うことが出来ないのである。だから、僕は一日憂鬱になるこの日が大嫌いなのだ。このように考えているのは、僕以外にもいるに違いない。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る