四話 色んな事があって…
ガチャ
ドアを開けると玄関前でカナが座っていた。
「カナ…そこに座ってないで。風邪もひくし…悪かったよ。そんなに心配してくれるだなんて…ちょっと目立ち過ぎてたかも…」
「……ハー」
カナは大きく深呼吸した。
「…カナ?」
「…もう、大丈夫です。こっちも心配かけさせてすみません。一旦気持ちを落ち着かせようと一人の空間を作っていたのですよ。まあ、ユウも生きて帰ってきている事ですし……あ、夜ご飯の時間でしたね。ソニア達も待っていますし、それよりご飯が冷めちゃいますしね。そろそろ行きますね。心配してくれてありがとうございます」
「あ、ああ」
ガチャ
「もう、どこに行ってたの。ご飯冷めちゃうわよ」
二人はキッチンで色々と用意してくれていた。
「まあまあ、そんなに急かすな。で、ライキ。今日のご飯は?」
「今日はこれだ。ちょっとそこの通りに売ってたやつを買ってきたぜ」
「何これ?初めて見る木の実だけど…」
「この実は…まあ、食ってみな…転ぶぞ」
「転ぶ?んなわけ…」
カリッ
「なんか、カリカリしてるな〜…かっ、辛っ!」
辛すぎて床を転げ回った。
「これはカラの実だ。これは普通に食べると激辛なんだが、これを調味料にすると最高なんだぜ」
「まままま、待ってくれ!辛すぎて話についていけない。み、水!」
「少しは危機感を持ったらどうですか…」
「モイストシャワー」
「…はぁ、死ぬかと思った…」
「すまんすまん。で、この肉に刻んだカラの実をかけてと…よしソニア。炙ってくれ」
「火炙りは任せなさい」
「前みたいにやらかすなよ」
「今度は大丈夫よ」
ザン、ザザーン
「お見事!」
「ありがと、火力の感覚掴めてきたわね。ささ、食べましょう!」
「お〜、美味そうな肉!」
「これがまずいわけないだろ」
「俺、味見してもいいか?」
「いいぜ」
「モグモグ…うん、大丈夫…かっ辛っ!」
また床を転げ回った。
「言ったそばから…はぁ」
「〜モイストシャワー〜」
さっきとは違い、めんどくさそうに唱えた。
ゴクッゴクッ
「はぁ、死ぬかと思った…」
「さっきの繰り返しじゃない。本当に辛いの?」
「モグモグ…あ〜、確かに辛すぎるかも。少し待っててくれ」
「ユウはあんなに転げ回ったのにライキ、辛いのには強いのね…」
5分後〜
「え〜っとこの辺りに…あった。見てくれ、この木の実を使えば良い」
「逆にこの実は何なの?」
「アマの実だ。名前の通りかなり甘いんだ。これをほんの少し足して…」
「モグモグ…うん、これなら大丈夫だ」
「味見で三回食べちゃったわね」
「まあ、まだ沢山あるし大丈夫だ」
『いただきます!』
「ここで登場するのがやはり、俺!」
カーマが現れた。
「飯の時だけ現れるのにそれ以外の時はどこにいるんだよ」
「さっきまではちょっとそこでやってる祭りに行ってた。ほい、土産」
「あ、ありがとう…って、祭りやってんのかよ。てか、どうやって買い物したんだよ。見えないんじゃないのか?」
「ああ、俺が変装魔法を使ったんだ。そしたらなんとか見えたみたいで」
「なるほどな」
「祭り!?なんの!?」
「初心者の街にちなんだ初心者を応援する祭り的なやつじゃないですか?色々やってるみたいですよ」
「それって今日まで?」
「見てきた感じ、明日の午後までらしいな。明日、福引きがあるらしいぜ」
「それって何か必要?」
「確か、木の実一つにつき一回。レア物なら回数加算だったな」
「カラの実やアマの実は意外とレアなんじゃないの?」
「そうだな、木の実にしてはそこそこ」
「じゃあ、その実明日使って良い?」
「えっ、せっかくの貴重品が…」
「ねえ、二人とも」
ギクッ!
「福引き…したいでしょ?」
(そんな恐ろしめの顔で問いかけられて、はい以外言えるか…)
「まあ、試してはみたい…かな」
「ま、まあしてみるのも面白いのでは…」
目を泳がせながら言った。
「なら決定ね。明日行ってみましょう。と言いたいんだけど、ちょっと用事があるから…お願いできるかな?」
(ワガママがすぎる。でもここで逆らうと…)
「オイラは明日食材集めで忙しいからな。無理かも」
ライキは話し方的に普通に予定があるみたいだ。
「まあ、予定がある人を連れていくなんてなんか悪いもんね」
(悪いと思っているならまず、人任せをどうにかしてくれ…でも、行ってみるのも悪くない気が…)
「…分かった。明日行ってくる…俺ら二人でな」
「ななっ!」
「本当に!?助かるわ〜」
「どうして、私まで巻き添いにするんですか!?」
「…こう言っておけばあっちから問いかけられることもない。どうせ暇だろ。帰りに魔道具屋寄ってやるから」
「…なら、良いですけど」
「何ヒソヒソと話してるのよ。やましいこと?」
「や、やましいことなんて話してないし!」
「とにかく、明日悪いけどお願いね」
「明日俺ら二人はそこへ行って、ライキは木の実集め。というかソニアはどんな用事なんだ?」
「そんなの秘密よ。後でのお楽しみ」
「ふーん。なあ、カーマは明日どうなんだ?」
「俺は忙しいな。ちと、することがあってな。すまんが二人で行ってくれ」
「分かった」
「さて、ご飯も食べ終わったし風呂沸いたらしいけど、先に誰か入る人いる?いなかったら先に入るけど」
「ユウが入るなら面倒だし俺も入るぜ」
「あの〜私、先に入っても良いですか?一つの楽しみだったので」
「ならソニアも一緒に…」
「いえ、一人お風呂が良いです。色々とプライベートというのがあるもので」
「分かった」
「今から皿洗いするし、手が空くならユウ、手伝ってくれないか?」
「うん、手伝うよ。じゃあソニア、そこの洗濯物お願いできないか?」
「えーっと、これのこと?」
「そうそう、それ」
「今、洗濯物がどーのこーの言ってましたけど洗濯なら私にさせてくれませんか?」
ドア越しにカナが返答した。
「いや、悪いだろ。リラックスする時に限ってそれは」
「いえ、私に任せてください。洗濯物をドアの麓に置いといてください」
「…じゃあ頼んだ。ソニア、洗濯物運んでくれ」
「分かったわ。カナ、このバスケットに入れておくわね」
「分かりました〜」
ガチャ
「皿洗いって結構大変だな」
「そうだよな。昔、オイラが一人でしていた時はかなり大変だったぜ〜」
「でも、今日は皿の量が少ないし早く終わりそう。後二皿程かな」
「ね〜、次アタシ風呂行く予約しとくわ」
「分かった。じゃあ俺ら二人最後に入って風呂抜いとくわ」
「この家の風呂の仕組み栓式じゃなかったはずよ」
「あ〜確か魔力操作で風呂の湯が出たり止まったりするんだったかな」
「えっ、そうなの。だから風呂がいつの間にか沸いてたわけか」
「多分カナがその仕組みについて知っていて先に風呂を沸かしたんだわ」
「ということは魔法使いがいないと風呂入れないってことか…」
「そうっぽいわね」
「マジか」
ザブーン
「ぷはぁ、飛び込み可能な風呂ってのは最高ですね〜深さも自由に変えれて初めて魔法使いで良かったと実感した感じがします。さーてそろそろ髪と体洗いますか…うぉっ!魔力操作で泡立つ…これまた特殊なシャンプーですね。それっ……何だかリラックスしているはずが疲れているような…」
クラッ
「あれっ急にめまいが…」
バタッ…
ここから30分後〜
「カナ、風呂出るの遅いな。半時間以上経ってるぞ」
「アタシ、ちょっと見てくるわ」
「ああ、頼んだ」
ガチャッ
「カナ、ちょっとお風呂浸かりすぎじゃ…えっ」
「!!カナアアアアア!!」
大声で叫ぶソニア。
「カナ、ひとまずタオル巻いてと…みんな来て!」
「どどど、どうした!?」
「カナ、カナっ!」
「う、うーん…ハッ!私は一体…」
「カナ。大丈夫か?」
「ハッ、私お風呂で倒れて…」
「何で倒れちゃったのよ。心配したわよ」
「カナ、まさか初風呂が楽しすぎて魔力使いすぎたとか…」
(ギクッ!)
「やっぱりな。カナのことだからすると思ったよ。今度からソニアと入ってもらいます!」
「ままま、待ってください!今回は、はしゃぎすぎただけです!今回だけは水に流してください!」
「…なら一週間だけだ。ペナルティだ」
「うっ…分かりました」
「カナは歯でも磨いて早く寝なさいよ。次アタシが入るから」
「さっ、俺らはソニアが入っている間に歯でも先に磨いておくか」
「そうだな、そうしよう」
「ソニア、悪いけど歯ブラシこっちに投げてくれないか?」
「はいっ!」
「おっとっと…もう少しで落とすところだった。ほい、ライキ」
「サンキュ」
シャカシャカシャカ…
「さーて、風呂はどんな感じかな…うわっ!」
ザブーン
「ぷはぁ。ね〜、魔力操作したなら戻してよね。風呂の深さが尋常じゃないわよ」
風呂のドア越しにソニアが言う。
「カナ〜着替えているところ悪いけど、魔力操作の解除をしてくれ〜俺らには操作方法が分からない」
「あ、すっかり忘れてました。はいっ!」
パチン
キュイーン
カナが指パッチンをすると風呂の状態が戻ったかのような音が流れた。
「あ、元に戻ったわ。ありがとう」
(おっ、少し体調が良くなりました。使った魔力は返ってくるみたいですね)
「着替え終わりました〜洗濯物だけ瞬時に終わらせますね」
「体調良くなったのか?あまり無茶はするなよ」
「大丈夫です。魔力操作を解除すると魔力が返ってくる仕組みのようです。日用魔法で何とか終わらせます。モイストシャワーからの…バブルポンプ!」
魔法で水を動かし、泡立ち始めた。
「これで後は魔法が自動的に洗ってくれます」
「洗濯を自動的にしてくれる魔法なんて初めて見たな。日用魔法なんかも使えるのか〜魔法って便利な機能だな」
「後は水気を切るだけですね。解除!」
スーッ
杖の中に水気と泡が戻っていく。
「どうですか、洗濯なら任せてくださいね。それでは皆さんおやす〜です」
『おやす〜』
「は〜、いい湯だったわ〜シャンプーが少し意味不明なやつだったけど」
「また魔力操作的なやつか」
「泡立ち方が魔力によって違うみたいね。まあ、操作しなくてもちゃんと泡立つし何とか大丈夫だったわ」
「なら良かった。さ、ライキも疲れてるだろうし、ささっと風呂行こうぜ」
「そうだな、カーマはいいのか?って寝てるし」
「スーッ」
ソファの上でぐっすり寝ている。
「多分、背後霊だし風呂入れないだろう」
「そうか、なら放っておこう」
ガチャ
「お〜、やっぱ風呂大きいな。大浴場みたいだ」
「これも、ユウが考えた設計だろ。よく敷地容量に収まったな」
「あ〜、実は…」
【「で、どんな感じの家が作りたいんだい?」
「こんな感じのをですね…」
「容量に収まるわけないやろうが!この野郎!」
「えぇ…」】
「…って、建築家に言われてもう少し小さいのをお願いしたんだ」
「いや、これで小さいって…どれだけデカくしようとしたんだ」
「じゃあ俺、体とか洗うから先に浸かっててくれ」
「分かった」
チャプン
「はあ〜良い湯だな〜あったかい。そういえばカナ、寝たんだよな。お湯どうやって抜くんだ?」
ゴシゴシ…
「アッ、操作の仕方聞くの忘れた」
「明日にするか?今起こすのもなんか悪い気がするし」
「そうだな。その方が良いと思う」
チャポン
『ほ〜』
「あったけ〜」
「それな〜」
「ていうか、俺ら二人だけなの初対面以来じゃね?」
「確かにそうだな。とは言っても話すことがあまり無いんだよな」
「まあ、無理に話す内容作らなくても」
「そういえば、片方の腕に闇のオーラ纏っていたはずだけどどっか行ったのか?」
「本当だ。あっ、カーマが寝たからかも」
「カーマが寝ると自動的に解除されるのか。不思議な仕組みだな。逆にカーマが起きていた時はいつもどうしてるんだよ?制御が効かないんだろ?」
「そうだろうと思って、いつも何かを手に巻くかポケットに手を突っ込んでる」
「なるほどね〜」
「ていうか、ライキのツノの仕組みってどうなってんの?」
「あ〜これか?」
ツノが生えた。
「わざわざ出さなくても」
「戦闘の時しか出しちゃいけないらしいからな」
そう言うとツノをしまった。
「へ〜、このツノって何からできているとか知ってたりする?」
「それが…知らないんだよな。生まれつき生えていたらしいから何からできているとかの詳細はまだ分からないままなんだよな」
「ライキはお父さんとかはどこに住んでるんだ?」
「オイラと出会ったあの森あるだろ。あの森を通り抜けた先にある集落に住んでいるんだけどそろそろ独立して仲間探ししなさいって言われてな。そこでユウに出会った感じ」
「へ〜、そんなことがあったのか。ライキのお父さんにもツノは生えているんじゃないのか?父ちゃんに聞けば…」
「俺の父ちゃんにもツノは生えているんだけどなぜかは教えてはくれないんだよな。何とか聞き出せれば良いんだけど…」
「そうなのか…じゃあ、そろそろ風呂出るか。長風呂になりそうだし」
「そうだな、出よう」
「は〜、スッキリした〜歯も磨いたことだし着替えて寝るか〜」
「先にユウは寝て良いぞ。俺は少し遅くなりそうだ」
「ソニアはもう寝たっぽいな。ならお言葉に甘えて先に寝るわ。おやす〜」
「おやす〜…さーて、することしていくか」
次の日〜
「ふわあ〜あ。ソファの上で寝落ちしてしまった。で、今は…えっ10時!?皆、起きろー!」
「すー、すー」
「うーん」
モゾモゾ…
「おはようカーマ。皆は?」
「まだ寝ているんだ。今日、祭りに行くんだろ?ならカナだけでも起こさないといけないんじゃね?」
(女子の部屋に入るのは何だか抵抗が…)
「まあ、起こしてくるわ」
「頼んだぜ」
「二階の、ここだったかな…」
ガチャ
「入るぞ〜カナ、そろそろ起きて…えっ」
「すー」
(寝相が悪すぎるだろ。布団蹴ってお腹出てるし。風邪ひくぞ)
「ったく。そろそろ起きないと無理矢理でも引っ張っていくぞー。良いのか?」
「うーん、もう食べられないです…」
「こ、こいつ夢の中でも何か食べているのか!?…よし、無理矢理でも引っ張っていこう」
「うーん、ガブっ!」
「痛ーてててててて!!」
「ん!?…は〜、ユウの奴何かされたのかな。すげー叫んでたけど。ていうかまだ、誰も起きてこないし…」
「ん?…ハッ!?」
「あ、おはよう」
スタッ
「イヤー!こっち来ないでください!変態!」
あらゆる物を次から次へと俺に投げつけた。
「ちょ!待てって!危なっ!ん?」
ヒュン
「痛ってっ!」
前から飛んできた目覚まし時計に当たってしまった。
「トドメです!不法侵入者!」
「ままま、待てって!俺だよ!ユウだよ!」
「…えっ、何で私の部屋にユウが!?まさか、私にいやらしいことを…」
「そんなことするわけないだろ。腕、噛まれたし。夢の中で何してたんだよ?」
「そ、それ聞きますか!?大して良い夢ではないですよ!」
「声がダダ漏れだったから大体予想はつくけど、お前何か食べてただろ?それで俺の腕も噛んだ感じだろ」
ギクッ
「そそそ、そんなに声ダダ漏れでした!?…まあ、私はただ単にくじ引きで旅行を当ててそこで美味しい食べ物を食べ比べる夢を…ままま、待ってください。今日くじ引き行く日だったのでは!?」
「だから起こしたんだよ。チャチャっと着替えて、行くぞ」
「ですが、私が噛んでしまったところの怪我とか後、時計が当たって鼻血出てますし治療する方が優先なのでは…」
「そんなのは、別に良い…いや、良くないか。まあ、それは後だ。間に合わなかったらソニアに何言われるか分からないし」
「な、ならせめて鼻血だけでも治療します。鼻血ならこれ巻いて鼻に詰めといてくださいね。急いで着替えるので部屋から出てってください!」
「うわっ!」
バタン!
突き飛ばされた後、ドアを思いっきり閉められた。
「痛って〜」
(親切なのか親切じゃないのかはっきりしないけどまあ、面倒見は良いんだろうな)
5分後〜
「着替えてきました。ささっ、瞬間移動を使ってください。今日はクエストお休みの日ですから」
「分かった」
(そうか、瞬間移動があるなら正味急ぎ足にならなくても良かったのか。自分の能力をすっかり忘れていた)
ビューン
「さあ、着きましたね。ちゃんと木の実は持って来ましたか?」
「一応、カラの実とアマの実一つずつ持ってきた。ちゃんとライキには許可を得た実をもらってきたから大丈夫」
「なら、安心ですね。あ、あそこにあるのが福引きではないですかね?」
「特等が旅行券5枚で行き先が…お.ん.せ.ん.の.ま.ち.ま.り.ー.な。どっかで聞いたことあるような…そうだ、リナさんが言ってた、水の龍ハイドロドラゴンの街だったっけ?」
「そうですね、ハイドロドラゴン。ですが、もしかすると、あそこでは地熱発電が盛んになっているので龍が変わっているかもです。そうなってくると、火山に住んでいるとされるマグマドラゴンに変わっている可能性があります。ドラゴンもたまーに場所移動しますからね」
「神様的な存在なのに、そんなに移動して大丈夫なのか?」
「まあ、一体が離れれば入れ替わりでハイドロドラゴンに代わって別のドラゴンが来ますからね。それがマグマドラゴンかなと仮定しているだけですよ。まあ、温泉なのでマグマドラゴンの方がお湯の温度は安定しそうですけど」
「ていうか、この列そこそこ長いな。まだ特等が出ていないということは相当確率低いんだろうな」
「へい、らっしゃい!福引きかい?木の実一つで引けるし、中身は得なものばかりだぜ」
(へ〜、やっぱり木の実なんだ。それで景品が貰えるってなるとお得だな)
「特等は温泉旅行だ。頑張れよ!」
「よーし、引くぞ〜」
ガラガラガラ…ポトン
「銀色!ななな、なんと!一等!」
カランカランカラン!
「やった〜!ドラゴンの卵だー!」
「すげ〜、前の人一等のドラゴンの卵を当てたぞ。なかなかの運の持ち主だな」
「あ、次私たちじゃないですか?」
「へい、らっしゃい!木の実で福引きかな?」
「このカラの実とアマの実で3回ほどしたいのですが…」
「3回だって!?カラとアマの実なら5回はさせないと。お嬢ちゃんも可愛らしいしな」
「……ま、まあ確かに普通の人と比べれば可愛い方でしょうね」
カナは照れながら調子にのっているが、可愛いのは事実だから否定はできない。
「なら、5回で」
「毎度あり!さあ、頑張って特等を当ててくれよ兄ちゃん」
「よーし」
ガラガラガラ…ポトン
「おはよ〜あれ、誰もいないじゃん。そっか、ユウ達は福引きに行ってソニアとカーマは個人の用事でいないのか。なら飯の下準備でもしておくか…」
「戻ったぜ」
「おっ、カーマ。帰ってきたのか」
「ああ、用事はもう済んだぞ」
「帰ったわよ〜」
ソニアも帰ってきた。
「なんだその本」
「ユウ達が帰ってきてからのお楽しみよ」
ガチャ
「ただいまあ!」
「お帰り〜ユウ、手に持ってるそれは何だ?」
「聞いて驚くな」
「エッ!福引きで特等が当たった!?」
「…カーマ、見通すなよ」
「えっ、温泉旅行当たったの!?アタシ、一回行ってみたかったんだ」
「後、その温泉に入ると痛みとか色んな症状が無くなるそうだ。ドラゴンからの傷が完全に治ってないユウには、ちょうどいいな」
「そうか、まだ治ってないのにバタバタしちゃったな。安静にする方が本当は良いのに。どうする、いつ温泉に行く?」
「そりゃ、今でしょうよ!傷や疲れを治すために行くんだから」
「さっきカナに聞いたんだけど、この前リナさんが言ってたハイドロドラゴンなんだけど、入れ替わってマグマドラゴンになってるかもだってさ。そうなってくると…」
「幹部がいる可能性もゼロではないって言いたいのか?」
「そういうことだ。カーマ」
「そんなのとっくに知ってることよ。さっきまでそこの温泉街に関する本を探しに行って、帰ってきたところだから」
「その本温泉街のガイドブックか何かか?」
「そうよ、俗に言う、攻略本よ」
「音速を超える足はそんなことにも役立つのか。俺らが多分特等引いてくるだろうと悟って本屋まで調べに行ってきたってわけか。だから、俺達に福引きを任せたのか」
「そういうことよ、ごめんね」
「てか、もしその勘が外れてたらどうしてたつもりなんだ?」
「まあ、その時はその時で普通に温泉旅行の計画作ってたし…」
「別にいいけど。こうして皆で旅行ができるんだし」
「んじゃ、オイラは食料とかを持って行く準備してくる。あの辺りだと今から行けば明日までかかるだろうからな」
「なら、俺も持ち物の準備してくるから皆も準備を」
「了解!」
「分かりました〜」
30分後〜
皆、準備は出来たか?
「こっちはオッケー」
「オイラも準備出来てるぜ。食料は途中で買うし、器具と調味料さえあれば大丈夫だろう」
「少し待ってください、馬車は酔いますので酔い止めに…」
「コンディションガード」
「ありがとう」
「そうだ。ちょっとお願いがあるんだけど…お店寄っていって良いかな?」
「ポーション不足か?」
「それもあるんだけど……したらどうかなって」
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