人は右/車は左/分かたれている街にすむミミズとオケラ


 人は右/車は左/分かたれている街にすむミミズとオケラ



 ミミズとオケラは共に地中を住処とする生物だが、進化の系図上では大きく離れた位置に在り、異なる文化を持つ。

 感覚器すら大きく異なる両者では、同じ街に住んでいるのに、見えている物も全く異なる。

 街を分かつのは物理的な境界ではなく、主体者たる彼らの認識そのものだ。

 重なり合った街で分断されたミミズとオケラは、ミミズともオケラとも異なる認識を持つ第三者からすれば、共生しているようにすら見える。

 人と車が道の左右に分かれていると認識しているのは、人自身、車自身の認識の中だけ――第三者の視点からすれば、それらが重なりあっている可能性は無いだろうか?

 何せ、人は車に乗ることすらできるのだから。

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