母船


さみだれて よい くずれる     蔑んだ眼差しでただれた

あなたとわたしのあいだから   まんざらでもない 絖り

うずまれるも うまれるもの    熟れた表皮が鱗と落とす。

ありしひの 無きにしも非ず    油脂とまがう畝りの苗床。


と或る星月夜は聖櫃に永遠に 穿孔の座敷童を熟む 海鳴りと貝殻に朽ちるまにまに 三文芝居を愉しみ給え。 少しだけ開いた蓋から 眼孔のマリアはそれでも夢を もうちょっとだけ覗いて見たい。 


淫猥な人形情瑠璃を伝染す 子らの手形が導となり血潮と巡る

縺れたレースを地に馴染ませ 私は、墨磨りに血溜まりを転変と


為す侭に波間を漂う 心臓の少しあったかい楔に ぎっこんばったん 黒い渦が 萎びたスナメリを躍らせ 交われば善かったのに 沙羅に熨せる甘酸っぱいシロップ漬け あなたのふぐりとわたしの子宮と、ボトルシップ、それとも紙飛行機かしら。それだけしなだれて(さいごにはわらってないて)のまれたらいい。


亡き君のうなじに絡め手、予定日は七回まわってONEのとこ

放送禁止用語で並べ立て埋め尽すゾンザイを、黒猫に挿げ替える

回復軌道の動力と、たたらの魂動は子守唄とあり


壱参番目の筋交いの悼みに、流線型のふくらみを手厚くバラしている、カヤネズミの夢。実在、ハトメを失くした砂時計の 君の骨だ なんて素敵でしょう。偽眼球体を転じ続けて成層圏へ 


記憶から落果する 棄てきれず列んで白紙に戻す僥倖、紅葉の時雨にはまだ肥溜めにも宿らない 蓄積された時 老化を早めていく。君と僕との、おかしな裸を繋いでキメラを創る。毒蛾の鱗粉に由った私は胚に生り 今まさに瑠璃色のからくり 幼稚な知恵の輪 蜻蛉玉に茹だる極四季、殺し合いから始まるエンドロール(可愛いかな可哀想かな)


とろけてしまいたかったの。それだけで、つきたかげろうたち

ここもうみにしずむから そのうち うまれかわるきっと




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