真宵蛾

記憶のしじまを游ぐ整尾を縫い付けた

ただ綺麗な物語も いつかの私に見えてくる

瀕死の枕詞を据え付け 暗黙の真綿を生皮に詰めて

うたを囁く体の休符

永いようで短い反抗期は 今宵いづこへと私を導くのか


浅い息とラクのリズムに跨り ただ思いを掃き潰すも波紋のみ

すり減った踵も鳴らず、くらいよるが実に燦燦と外灯と諭す


ふかいふかい海への思慕

元カノのよう孤独を包んでくれる易しいひとえ

今更に傷を負ってあかい未知を引いておくことが

そよぎつかれて ねむれぬもりの、刺し絞めす静寂に

いつか追い付くであろう幼心に少しは

刻まれることを願い、がままに疎む


ゆめのまた夢の彼方へ みちてはひいて

泥の河でそっと てばなしたい


誰かを諭すものも 傷を愛でるものも すきはすき

どれかひとりだけでは それだけだと読み聞かせる


イカれた頭をすげかえて

新たな化粧を施して

螺子の抜けた孔を填めて、

眠れない夜に華奢な躰をおとして。

ねえ、誰かの思いにしずめて


これは理屈じゃなくて意味もなくて ただ感情が動いた結果。

そう、微動だにしない眠り姫の透明の爪を剥がし、

このみかたちを誂えながら


私を棺にかえしてください


なんか好い。ただそれだけの恋患いみたいなもの

なんだかよくわからないままに


逃げないよう羽を毟り安直な囀りを揺籃におさめて。

朽ち果てても信じている。

太陽も月もあなたを覗きこみますと

また私の分身が、勝手に羽ばたいてゆくものです


#詩コン 寝


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