礫
大振りで且つ皮の無い影に秘された鶯色の、葡萄の礫のような表皮が、あたりに広がっていく様を、あなたがひとつひとつちぎっていくものです。痛みを無くした義賊の有袋類の殺り方、確もゆめもうつつに。柔肌に恩恵を賜ります故に沙羅に等しく願いをかけて。
天に戒める我らが至高のその後、浅ましい麻袋に詰まる間延びした蟒蛇の毒牙、引っこ抜いて煎じてみせましょう。とも今更、助かる見込みもない過去に、どんな妙薬を与えたところで花開くものでもないでしょう。空虚なもの、ただただありて、高みから見物致す。
呆れもしないほどの齷齪と魂動を結び付け、出鱈目に暗算する。陽時計の針は焼き尽きても時は加速を増して、ましてや車軸を失った奇型の南瓜では元から制御などしきれず、藻屑になりかけた水母の華は落下点を定めしまい、この身は青に溶け込んだ崖から転じるように、曝け出すのは阿呆のケツの穴か、どうか、深層に潜っていく。
しかも何も開かぬのだよ、そこは。アメフラシが作用するこの生と死の番傘よ、まわれ めぐれども。ただ、拙く股を裂き汚物を穿き散らし地に根付いたすぎない この足は、そこに 堕ち えにしは 栄え血脈を奔らせるのだろう。どくどくと とくとくと、磨り熟れた木偶に、内側のはらわたのはなわに、雑葬の名をつけるものなど、ただのひとりとていない。
出会うことの無い唇から零れた騒音に 漏れ出した このみてくれすら、掻き消されて仕舞いたい。色も形も姿も、ただの暗闇と交わるだけでも。ただ、優しいだけ、浅い眠りにつかせてくれる。
すべては平等に愛せ世。祖の地は鎖落ちて雑葬を茂らす。
掬われない がままのため息をただ流して、逝け。
此処にうずくまる 生きた言の葉たちを 川に溺れて沈むうたかたにでも 兎角なしたい。眠りを誘うのは誰の仕業だろうか、著者は合ってないに均しく。
誰と出会おうともいつか飽いて逝くのだ。
底には名と骨だけが白く輝いてる。それは誰の光か、木漏れ日に齎された思い出の印影とも 思えば、確かに。
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